逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

今いる環境が人格障害をつくる

人格障害のカウンセリングをして思うのは


人格障害はその人の性格なのではなく
その人が作り上げた環境が作り出す病気なんだということです。

 

 

自分のことは自分で動かせるんだから
自分の性格はすべて自分のせい

 

境界性人格障害だった私はそう思っていました。

 

 

でも人は

無意識に人から沢山の影響を受けながら自分を作り上げているんですよね。

 

 

毎日人と関わって、SNSやインターネットで人が表現したものを見て
そのすべてでその人は作り上げられているんだと私は思うんです。

 

 

出会う人は選べないと思っているけど


出会った中で距離を近づける人を選んでいるのは自分

選ばれてそれを受け入れているのも自分

 


無意識に好感を持ったり持たれたり受け入れたりしながら
集めた人間関係が自分の環境となり

それによって自分が作られていく。

 

 

それだけではなくて
自分が好感を持っても上手くいかないことがある。

本当は気に入らないけど妥協しながら集めた人間関係もありますね。

 

 


私の境界性人格障害が悪化した時の周囲の人間関係を思い出してみます。

 

 

・私を魅力的だと褒めたと思えば大嫌いと嫌うような
 安定した見方をしてくれない人


・私の魅力的なところだけ見て
 そうでない所は見て見ぬふりをする人


・私の言いなりになって自分の意見を言わない人
 私に苦言を呈さない人


・私の内面に興味を持たない人

 

 

こんな人ばかりでした。

私は無意識にこんな人を集めていたと思います。

 

私にとって都合が良かったからなんですね。

 

 

自分のダメなところを隠して高い評価を得たかった

失敗しても見逃して欲しかった

人を自分の思い通りにしたかった

自分のトラウマや闇を自分で見たくないし人にも見せたくなかった

 

こうやって無意識に自分に都合のいい人を集めて
境界性人格障害の症状をどんどん悪化させていったんだと思います。

 

本当は境界性人格障害を治していくためには
これとは逆のことが必要でした。

 

 

例えば


自分の良いところも悪いところも全部見て
そんな自分でいいと思う

人にも隠さず全部見せてそれでもいいと思ってもらう

 

失敗を隠さずに認めて、失敗をしてもいい、そこから改善していけばいいと
堂々としている

 

思い通りにならない人をそのままにして
そのままの人とぶつかったりしながら折り合いをつけて上手くやっていく

 

自分のトラウマや闇の部分も見て
落ち込んで暗くなってしまう自分も自分なんだと認めてあげる・・・など。

 

 


こうして境界性人格障害は良くなっていくのに
自分の都合の良い人間関係を作ろうとしてしまって

 

そこで毎日関わりを重ねていって
境界性人格障害はどんどん悪化していくんですね。

 

 

 

人格障害は人によっていくつも持っていることがあります。

私には自己愛性人格障害もありました。

 


私が自己愛性人格障害を酷くしていった人間関係は


・自分のことを一切出さずに何者かになりきっている姿を喜ぶ人


・自分の得意な世界で凄いとちやほやしてくれる人


・自分を絶対的な存在としてあがめる人


・傲慢で強い態度を喜ぶ人

 

 

私は無意識にこんな人を集めていたんだと思います。


この時の私にとって都合が良かったんですね。

 

 

演技をして本当の自分を殺してでも最高の賛辞が欲しかった


失敗をしない、いつも上手くいく、余裕しゃくしゃくでいる自分でいたかった


絶対に見限られない保証がほしかった


弱い自分や情けない自分を見破られたくなかった

 

そうやって自分に都合の良い人ばかり集めて
自己愛性人格障害を悪化させていきました。

 


本当は自己愛性人格障害を治していくには
逆のことが必要でした。

 

 

例えば


心を許せる相手には演技をせずに
リラックスして自然な姿を見せること


自分の得意ではない世界でも色んな経験をして
沢山失敗をして動揺して怖くなって
自分の色んな面を知って色んな能力を増やすこと


人と対等に向き合って、愛されたり見限られたりしながら
人にもっと敬意や畏れを抱くこと


強い自分もいれば、弱くて情けない自分もいると認めていくこと

 

こうして自己愛性人格障害は良くなっていくのに
自分に都合の良い人間関係を作って

そこで時間を重ねて自己愛性人格障害を悪化させていきました。

 

 


人格障害は

自分に都合の良い人を集めて自分で環境を作り
そこだけで過ごし続けること

つまり自分で作った環境によって人格障害を作り出してしまってるんですね。

 

 

こうやって過ごし続ければ

 

経験に偏りが出るのも
人格が未熟なままなのも
人に敬意を持てないのも当然なんですよね。

 

 

人格障害は
自分が集めた都合の良い人間関係の中にいながらにして
自分でなんとかしようとしても治らないんです。

 

 

このこと自体をすべて否定はできません。

 


私も散々そうしてきました。

 

その時の私にはそうするしか出来なかった

あるいはそうする必要があったんだと思います。

 

 


でももし

そうする必要が無くなってきているのに
留まっているのだとしたら

 

もし本当に人格障害を治したいと決意をしたら


自分に都合の良いだけの場所から外に出て行かないといけません。

 

 

様々な人と関わりを持ってバランスをとれるよう

 

今より少しでも
広い世界に飛び込んでいかなければいけません。

 

 

私も少しずつ人格障害が良くなっていく過程では

必ず外へ飛び出すタイミングがありました。

 

 

安全な世界にこもっていたい。

その気持ちは本当によくわかります。

 


でも
過去の傷が少し癒やされて、力が溜まってきたなら


人格障害を治して、自分を自由にしてほしい

外の世界でもっと楽しんでもっと自分の力を発揮してほしい

 


私は強くそう願っているんです。

 

 

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