逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ギフテッドは能力を発揮するのが難しい

ギフテッドの人は


「能ある鷹は爪をかくす」という諺のように日々過ごしていませんか。

 

 


ギフテッドの人の悩みのひとつに

 

「自分の能力を隠さなければ人と上手くやれない」

 

というのがあります。

 

 


この悩みを持たないギフテッドの人は居ないですよね。

 

 

私自身もずっと悩んできたことですし
私がお会いしたギフテッドの人みんなも、悩んできたことです。

 

 

 

 

ギフテッドの人が大人になり

 

自分と同じように能力の高い人ばかりの環境に置かれるようになる

あるいは自分の能力が、ある程度社会で認められるようになれば

 

能力を隠さなくてもいられるようになるかもしれません。

 


でも子ども時代は本当に大変です。

 

 


多くの子どもが苦労して勉強しているのに
ギフテッドは何もしないでいきなり高得点をとったりする。

 

多くの子どもが必死に我慢しながら取り組んでいるのに
ギフテッドは楽しみながら誰よりも上手にやったりする。

 

多くの子どもが努力して沢山の時間をかけて身につけていくことを
ギフテッドは強い知的好奇心と創造力で、短期間で身につけたりする。

 

 

 

その姿をみて

 

「ずるい」
「余裕で嫌なやつ」
「一生懸命やっている人の気持ちなんて分からないだろう」

 

必ずこんなふうに言われるようになります。

 


私も何度言われてきたでしょうか。

 

 

 

 

今となってみれば

 

何がずるいんでしょうね。

どこが嫌なやつなんでしょうね。

 

 

一生懸命やる人の気持ちを理解しなければいけないのなら
楽しみながら合理的にやる人の気持ちだって理解しなければ公平ではない

 

今はこう思います。

 

 

 


でも当時は

 

ずっと自分のことを

 

ずるくて嫌なやつで
一生懸命やってる人の気持ちが分からない
色んなものが欠落した人間・・・

 

こんなふうに自分を責めては嫌悪していたものです。

 

 

 

本当は

ギフテッドも、ギフテッドじゃない人も
どちらも悪くないんですよね。

 

生まれつき恵まれたものを持っている人を
恵まれていない側からみたら疎ましいのは当然ですよね。

 

 

私も小さい頃は

良い両親を持っている人や

お金持ちの家庭で育った人や

容姿に恵まれた人が疎ましかったんです。

 


でも子どもの頃は
生まれつき恵まれたものを持つ恩恵より
少数派であることの苦しみの方が大きいのではないでしょうか。

 


もし私だってギフテッドの逆側にいたら
ギフテッドのことを疎ましく思うかもしれません。

 

 

それでもやっぱり

一方的に責め立てられることは、仕方がなかったとは思えませんが…

 

 

 

多数派で、一見して弱者の立場にいる人たちに責め立てられるギフテッドは
いつも黙って我慢するしかなかったんですよね。

 

これがつらいことですね。

 

 

 

またギフテッドの子ども時代は
当たり前ですが、まだまだ人生経験がありません。

 

それなのに
ギフテッドは頭の中だけがどんどん老成していってしまいます。

 

 

鋭い観察力や強い知的好奇心で
知識や知恵や情報が膨れあがり
早い段階で人生や人間の仕組みを頭の中でだけ理解してしまいます。

 


自分が経験したわけではないのに、自分が出来るわけではないのに

本を読んだり、人から話を聞いたり、観察したことだけで
実際に多くの経験をしてきて
行動も伴っている人と同じように話をしてしまいます。

 


ギフテッドは
この実際の経験と自分が経験したかのように持っている知識との差がつきづらいんです。

 

そのせいで
人から見ると「何も出来ないくせに口だけは達者」になってしまいます。

 


ギフテッドは経験はないけれど
ある程度の経験を持つ多くの人が語ることの間違いや矛盾が分かってしまう
より合理的で正しい方法が分かってしまう

 

それなのに、それを口にすると
「何も出来ないのに口だけは達者」なやつの言うことは聞いても仕方が無い
頭が悪く性格が悪い・・・と思われてしまうんですね。

 

 


ギフテッドの頭の中とバランスのとれる人物は
かなりの経験を積んだプロフェッショナルです。

 

全く未熟で経験のないギフテッドが
そんな人と話が出来る機会はあるわけがありませんよね。

 


だから
誰と話しても、自分の頭の中にあるものを出してしまうと
「何も出来ないくせに口だけ達者」になってしまって
誰にも聞いてもらえない、疎まれることになってしまうんです。

 


こうしてギフテッドからすると

 

「自分だけが真実が見えていて誰も見えていない」
「自分の中になる答えは誰にも言ってはいけない」

 

といつも感じさせられることになります。

 

 

 

このようなことばかりで
ギフテッドは自分を守るために

 

「自分を無能に見せよう」とするようになったんですね。

 

 


ずっと無能に見せようとしながら生きると
どうなるか分かるでしょうか。

 

 


何も全力で出来ない
何も本気で楽しめない
自分の頭の中を誰にも話すことが出来ない

 

いつも物事に適当にしか取り組めず
いつも人にへりくだって馬鹿なフリをして

 

自分らしくいられず
全てがつまらなく冷めていて

 

人に疎まれて人から下に扱われるようになってしまうんです。

 

それだけではなく
自分の能力が全然発揮できず、無能なフリをしていたはずが

本当に無能に近づいていってしまうんですね。

 

 

 

ギフテッドの人は
きっとこんな経験をしてきたのではないでしょうか。

 

 

 

とにかく自分を隠さなければいけなかったこれまでの人生は

本当に苦しかったですよね。

 

 

もう子どもの頃と違い、隠さなくていいんです。


これからは少しずつ
自分らしく全力で生きてみたいと思いませんか。

 

 


まずは
その頭の中に見合うよう
頭の中のことを検証するために

 

経験を増やしていきましょう。

 

 


頭の中と実際の経験の差が縮まれば
ギフテッドは楽になっていきます。

 


口だけだった自分が
経験することによって口だけじゃ無くなった時
大きな自信がついてきます。

 

 


ずっと頭の中で考えていたこと、間違ってないと信じていたことが

経験をすることによって
実際に形になったり、本当に正しかったと思えたり
覆されたりすることもあります。

 

でも、やっと答え合わせができてスッキリするはずです。

 

 


経験が増えていけば

 

自分の頭の中のものが

 

経験は無いけど知っていることなのか
経験をして分かったことなのか
違いが分かってきます。

 

口に出すときにも、その違いをはっきりと分かった上で口に出すので
人から疎まれることが減っていきます。

 


全力を出せなくなってしまったことも
自分らしく生きられなくなってしまったことも
自分を出せなくなってしまったことも

 

ギフテッド自身のせいではありません。

 

 


ですが
これからは自分の力で変えられます。
これからでも遅くありません。

 

これから、全力で自分らしく生きていきたいですね。

 

 

 

 

 

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