逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

親しい人に怒りや不満を持つことができない

親しい人に対して怒りや不満を持つことができない。

 

こんな人はいないでしょうか。

 


愛着障害を持つ人のカウンセリングをしていると
この問題のせいで

自分の感情を自由に感じられないことがとても多いんです。

 


元から鈍感で人のことがあまり気にならない人や
誰に対しても寛容で、もともと怒りや不満を持たない人は
何の問題もありません。

 


でも
愛着障害を持つ人は
誰よりも傷つきやすく、まだ寛容になれるほど大人になれていません。

 


本当はとてつもない怒りを感じていたり、不満を持っているのに
親しい人に対してそれを感じられないという状態なんです。

 


どうして愛着障害を持つ人は
このような状態になってしまうのでしょうか。

 


愛着障害を持つ人は
逆説的なようで不思議に思われるかもしれませんが
親に対して強い執着を持っています。

 

「いや、自分は親のことは憎んでいる」
という人もいるかもしれませんね。

 

でも「無関心」でないなら
執着していると言えるのではないでしょうか。

 


この強い執着には理由があります。

 



愛着障害を持つ人のほとんどに、発達障害の傾向が見られます。

 

生まれつき発達障害の傾向がある場合や
愛着障害によって発達障害と似た問題が出ている場合があります。

 

どちらにしても
不安が高く、環境の変化を嫌う傾向があります。

 

そして
長く慣れ親しんだものが変わることが、とにかく嫌だと感じるんですね。

 


親は生まれた時から
ずっと近くに居る慣れ親しんだものです。

 

どんなに嫌なことをされてきていても
どんなに不満がいっぱいでも
他の人と比較すると、一番長く接している人です。

 

 

 

長く慣れ親しんだものを無くす
長く慣れ親しんだものから離れる

 

こんな選択肢を持てない愛着障害を持つ人が
親から酷い扱いをされたとしたらどうなるでしょうか。

 

 

 

親に対して怒りを持つ → 嫌いになってしまう

 

嫌いになってしまう → 一緒にいるのが耐えられなくなる

 

一緒にいるのが耐えられなくなる → 離れなければいけなくなる

 

離れることは出来ない → 怒りを持つのをやめる

 

 

 

こんな流れで

 

どんなに嫌なことをされても怒りを持つことが出来ず
不満を持つことが出来なくなるんですね。

 

 

 

<愛着障害の連鎖>で書いたように

 

愛着障害を持つ人の親も愛着障害であり
ほとんどの親が
家族以外と深い人間関係を構築することが出来ていません。

 


そんな親は子どもに
家族を最優先にするべき、家族以外は信用できないと刷り込み
親子の関係を濃密にし
子どもが親以外の人に心を開けないようにしていき
上手く人間関係を築けないようにしていきます。

 


そうすると子どもはさらに
家族以外の人間に何も話せない
家族以外の人間の前でリラックスできないようになっていき

 

ますます親から離れられなくなっていき

 

またさらに先ほどの
どんなに嫌なことをされても怒りを持てないループにはまっていくんです。

 

 

 

また
悲しいことに

 

家族以外の人と深い人間関係を築けたとしても
これまでと同じように

嫌なことをされても怒りを持てないループにはまっていってしまいます。

 


せっかく親しくなっても
親しくなればなるほど離れたくない気持ちが大きくなり
嫌なことをされても怒りを持てずに我慢を重ねていくようになります。

 


これがどれだけ大変なことかおわかりでしょうか。

 


人間関係はいつも我慢の連続です。
どんなに不満があっても、自分が我慢すればいいと我慢を続けてしまいます。

 


そうすると
我慢をする人間には、自分勝手な人間が集まりやすくなります。
我慢をしても終わりはなく、より我慢を強いられるようになっていきます。

 


自分を取り巻く人間関係はどんどん悪くなっていきますね。

 

 

ずっと我慢を重ねて、怒りを感じないようにしていたせいで
感情が分からなくなったり
感情のコントロールが悪くなったり
鬱になったりと心に問題が起きてきますね。

 


自分が我慢を重ねていると
無意識に人にもそれを強いるようになっていきます。
その思いが人に伝わり、人から疎まれるようになっていきます。

 

 

 

「慣れ親しんだものから離れたくない」という生まれつきの性質だけでなく

 

嫌でも逃げられない、親という存在に嫌なことをされ続け
不安を大きくされ、新しいものに興味を持てないようにされたせいで
こんなに大変な問題を引き起こしてしまうようになってしまったんですね。

 

 

 

このような負のループから抜け出すのは簡単ではありませんが

必ず抜け出すことは出来ます。

 

 

自己肯定感が上がり、不安が低くなれば
「慣れ親しんだものから離れたくない」けれど
「新しいものにも興味がある」と思えるように変わってきます。

 


そうやって
慣れ親しんだ人以外の人間と温かい心の交流を経験することが出来れば
そこに執着しなくても大丈夫
そこじゃ無くてもこんなに安心できるんだと思えるようになります。

 


そうすれば
「怒ってもいいんだ」「嫌ってもいいんだ」
といつでも自分の心に正直にいられるようになっていきます。

 


自分に正直にいることで

 

我慢の連続だった人間関係が変化していきます。

我慢するのは自分だけじゃなく
お互いに譲り合い、折り合いをつけていく人間関係が築けるようになっていきます。

 

 

まずは少しずつ自己肯定感を上げ

慣れ親しんだ、自分にとって良くない人間関係から抜け出せるようになること

新しい人間関係を増やしていくこと

 

これを目標に頑張っていきましょう。

 

 

 

 

関連記事

 

 

www.lilcafe-colony.com