逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

依存症は意思の弱さとは関係はない

これから
依存症についても、このブログで書いていきたいと思います。

 


私は依存症の方を専門としてカウンセリングをしてきていません。

 

カウンセリングは主に

人格障害愛着障害の傾向を持つ方が対象です。

 

人格障害愛着障害の傾向を持つ方には

さまざまな共通の問題があります。

 

 

その中でとても多く見られる共通点が依存症でした。

 

あまりに依存症の問題を抱える方が多かったので

人格障害愛着障害の傾向と、依存症は

密接な関係があるのではないかと思うようになりました。

 


依存症の問題は
人格障害愛着障害から回復を図るカウンセリングで

大変な壁になりました。

 


依存症は

体への影響や日常生活への影響など

さまざまな問題がありますが

心への影響もとても大きいんです。

 

あとで詳しく書かせてもらいますが

依存症の心への影響をいくつか挙げてみます。

 

例えば

 

自尊心を下げます。

 

集中力や思考力を奪い、じっくりと考えることが難しくします。

 

現実逃避の癖を強めていきます。

 

躁鬱の傾向を強くして不安を強くします。

 

 


これがカウンセリングを進める上で本当に悩みの種でした。


先に依存症の問題を何とかしなければならないと
最初の頃は思っていました。

 


ところが
人格障害愛着障害からの回復を図るためのカウンセリングを進めていくうちに
いつのまにか依存症が良くなっていったんです。

 

気がつくと依存症は無くなっていて

クライエントさんは必ずこう言います。

 

「あれほど必死に依存症と戦ってきて治らなかったのに」

 

本当にクライエントさんも私も不思議に思うんです。

 


依存を断ち切るために
意思を強く持つように強いたことはありません。

 

依存から一切離れるように
環境を変えてもらったこともありません。

 

依存について
深く考えてもらったり、反省をしてもらったこともありません。

 


むしろ
カウンセリングで自分と向き合う作業が大変なのだから
依存は許そうか、依存を絶つと言うよりは上手に付き合っていこうか

 

というように
依存から無理に引き離そうとしないスタンスで
カウンセリングを進めていました。

 

 


依存症を持つ方のカウンセリングの進め方は

 

私自身が
これまでに依存症に苦しみながら回復してきた経験からヒントを得ました。

 

 

 

恥ずかしながら
私も沢山の依存に苦しんできました。

 


立場上、詳細については書くことははばかられますが

 

過食、ゲーム、インターネット、ギャンブル、買い物、恋愛、セックス、仕事・・・

 

多くのことに依存し
時間やお金を費やし、自分のコントロールを失って

人生を失ってきました。

 


自分はだらしなく、意思が弱く、恥ずかしい人間だと思っていました。

 


ですが
依存から回復したのは

 

自分に厳しくなり
しっかりとした意思を持ち
正しい人間になれたからではありませんでした。

 


感覚的には正反対だったんです。

 

ずっと自分に厳しく罰しながら
正しいことをしようと努力し続けてきた人生から
時に自分を甘やかすことができるようになった感覚でした。

 


自分のダメさを認めて、自分の気持ちを尊重しながら
沢山失敗して間違いながらゆっくりやっていけばいいと許しながら
自分を少し甘やかしながら生きていく。

 


これが依存から抜け出すことが出来た今の私の姿です。

 


依存症を回復させるには

 

より厳しくするのでは無く
外から見えづらい本人の厳しさや縛るものを緩めるしかないと私は思うんです。

 

 

 

未だに依存症は

 

「本人の意思の問題」「本人のだらしなさ」「本人の人間性

 

とされているように思います。

 


依存症の治療も

 

本人の強い意思に頼って戦わせるような
本人を罰しながら反省を促すような
本人の人間性をたたき直すような・・・

 

私からすると
そんな、一生依存から抜け出せないんじゃないかと思われるやり方ばかりに見えます。

 

 

私自身が依存症から回復した経験から

依存症を持つ方が容易に回復した経験から 

 

依存症は心の病であり
心が回復すれば自然と依存症も治っていくもので

 

本人の意思や人間性の問題ではないと言わせてもらいたいんです。