逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

愛着障害を持つギフテッドの人に思うこと

 

開業して2年を過ぎ、しみじみと感じるんです。

 

愛着障害を持つギフテッドの人はとても魅力的だなぁと。

 

 

 

愛着障害から回復したギフテッドのクライエントさんに

こんなことをよく言われます。

  

 

「最初は我ながら酷い態度だったと思うんですけど、よく愛情を持てましたね」

 

 

 

微笑ましくて思わず笑ってしまいます。

 

自分のことを
こうやって笑えるようになるなんて素敵ですよね。

 

 


言われてみるまで考えてもみませんでした。

 

 


愛着障害のカウンセリングには
治療者側の愛情が大事だと言われています。

 

 


振り返ってみると

 

我慢して目の前の人のカウンセリングしなきゃいけない
愛情を持たなければいけない

 

こんなふうに義務に思ったことはありませんでした。

 

 

 

もちろん
愛着障害を持つギフテッドの人のカウンセリングは簡単ではありません。


本当に難しいと日々感じています。

 

 

 

愛着障害を持つギフテッドの人は


養育過程で愛着を形成できなかったせいで抱えた
生きづらさに繋がる大きな心の問題が沢山あります。

 

 


例えば

 

ギフテッドの高い感性で
継続的に傷つけられることによる根の深いトラウマ

 

理不尽な環境でも
ギフテッドの想像力や思考力を使って死にものぐるいで努力をし続ける。
それでも抜け出せなかった絶望からくる大きな無力感

 

ギフテッドの想像力や思考力を持って孤独に人生を考え抜いてきた
しっかりと作り込まれた自分1人の思い込みの世界

 

理不尽な相手でも
ギフテッドの純粋さや人懐こさで、信じよう愛そうとし続ける。
それでも何度でも裏切られ酷い目に遭うことによる
人間不信の一言では言い表せない、人間への大きな愛ゆえの大きな恨み・・・

 

 

 

本来なら大きなことを成し遂げるために使うはずの能力を
自分をマイナスの方向に導くことに使ってきてしまいました。

 

 

こうして人格障害の傾向を持つようになってしまったんですね。

 

 

 

 

人格障害の傾向を持つということは


自分を守るためにしている行動が
無意識に人を攻撃したり傷つけたりするということです。

 

 


これが深く関わり合うカウンセリングでは強く起こります。

私がその相手になります。 

 


どんなに愛していても、攻撃をされるのはつらいですよね。

愛しているからこそ、攻撃をされると余計に堪えますね。

 

私も本当につらいことはつらかったです。

 

 


でも私の場合は、その攻撃の理由が分かるんです。


恥ずかしながら、自分もそんな攻撃を散々やってきましたから…

 

 

 

だから大変な時でもカウンセリングを続けてさえいれば

 

大変な時は必ず過ぎ去る
今の言動はこれまでの癖であって、本来の素敵な人柄が戻ってくる

 

「これは今だけのこと」

私はそう信じてるようです。

 

 

自分自身もそうだったしこれまで回復してきた人も全員そうだった…


だから確信を持てるのかもしれません。

 

 


それにクライエントさんが魅力的な人物に生まれ変わる瞬間を見るのを

私自身が楽しみにしていることもあります。

 

 

 

愛着障害を持つギフテッドの人の魅力を説明させてください。

 

 


ギフテッドのイメージは


知能の高さから成績優秀で、趣味も多彩
生まれ持った優しさで多くの人に優しい
誰から見ても優れた人

 

このような感じだと思います。

 

 

 

 

愛着障害を持つギフテッドの人は

 

大変な現実にずっと対処することに力を使ってきたせいで
それほど優れた人に見えないかもしれません。

 

 


でも苦しみという感情を沢山感じてきているので
人の苦しみに誰よりも寄り添おうとします

 

目の前の問題に死にものぐるいで対処してきたせいで
いつも全力で何かを為そうとしています

 


とても愛すべき人間だと思いませんか。

 

 

 

普通のギフテッドが色んなものに興味を持ち
世界について知ろうとしている時

 

愛着障害を持つギフテッドは
愛情をくれない養育者、出会った目の前の人間が
その興味の対象になります。

 

とにかく人に深い関心を持ち人と繋がろうとする。

 

 


ギフテッドですから
自分の好きなことや知りたいと思うことを
どこまでも追求したいという欲求はあります。

 


でも一番強い欲求は
愛着障害ゆえにどうしても得られなかった愛着

 

「人から愛されたい」
「人を愛したい」という気持ちになるんですね。

 

 

 

愛着障害を持つギフテッドの人は

 

真理を追求したい
自分の好きなことだけやっていたい
大きな事を成し遂げたい
お金を稼ぎたい・・・

 

ただこれだけにはなりません。

 

 

 

先ほどの理由から

 


自分が好きなことをやりながら人を喜ばせたい

 

人を育てたい

 

人の役に立ちたい

 


心が回復すると皆さんがこんな強い欲求を持つようになります。

 


私はこれを本当に嬉しく思います。
私も同じですから。

 


私がやっているのは


私自身が追求してきた対話を通して
愛着障害を持つゆえに能力を開花できていないギフテッドの能力を開花させること。

 

愛着障害を持つゆえに人と上手く関わらなかった、本来は人に良い影響を与える人を育て直していくことです。

 

 

 

 

有名になること、大金持ちになること、権力を持つこと
全く興味がないわけではありませんが

 

やっぱり飛び抜けて強い欲求は
「自分が幸せで、人も同じくらい幸せにすること」なんです。

 


心が回復すると皆さんそう言うようになります。

 

 

 

愛着障害を持つギフテッドの人は人格障害の傾向を持ちやすいので
回復するまでは

 

人から疎まれやすいし人が信じられなくて怖いし

自分のことしか考えられないかもしれません。

 

 

でも私はこのような理由で

どんなに一時的に良くない状態でも表面的には性格が悪く見えても

 

恥ずかしいですが自分も含め
愛着障害を持つギフテッドの人に愛情を持ち続けられるんですね。

 

 


私のカウンセリングを受けられない、受けない、愛着障害を持つギフテッドの人も

 

自分のことを悪く決めつけず
こんなふうに自分のことを愛してくれたら私は嬉しいです。