逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

リセットしたい

リセットしたい。

 


誰でもこんなことを願ったことはあるのではないだろうか。

 

 

 

何もかも嫌になるよね。

 

面倒くさくなるよね。

 

重たくて重たくて放り出したくなるよね。

 

先送りしてきたことが積み上がっていて
にっちもさっちもいかなくなるよね。

 


バーン!!ちゃぶ台返し

 

やりたくなるよね。

 

 

 

わかるよ。わかる。

 

 

 

私も心が回復するまでは
毎日のようにそう思っていた記憶がある。

 

 

 

完成寸前の文化祭の企画で気に入らない部分を見つけてしまった。
すべて壊してしまいたい。

 

卓球の試合の為に毎日のように練習を重ねてきたけれど
放り出して逃げ出したい。

 

嫌われたくなくて、ずっといい顔をしてきた友人に
本音をすべてぶちまけてしまいたい。

 

愛されたくて、完璧な彼女を演じてきたけれど
もう限界だからもう終わらせたい。

 

いつも良い顔をしてきたけど、どうも本性がばれた気がするので
学校をやめたい。誰も私を知らない場所に行きたい。

 

 

 

なんだろうなぁ。

 

とにかく壊したいしやり直したい。

 

そんな気持ちが強かった。

 


失う物なんてないと思っていたし
周囲の人の存在なんてどうでもよかったし
根拠も無く、やり直せば上手く出来ると思っていた。

 

 

 

そんなわけで本当にリセットしちゃうから

 

色んなことを台無しにして
周囲の人の信用を失うし
いつも同じことを繰り返してる自分が嫌いになっていった。

 

 

 

今だってリセットしたい気持ちは
そりゃ少しはあるけど

 

「いや積み上げてきたものがもったいなくない?」
「力を貸してくれた周囲の人が悲しむけどいいのか」
「壊してやり直してもそんなに大差ないぞ」

 

なんて
もう1人の私が冷静な言葉を投げかけてくるようになったから
乱心はしない。

 

 

 

そうなんだよね。

 


リセットしたいと思う願望は多かれ少なかれ
みんな持っているんだけど実際はやらない。

 

一時期の私とみんなが違うのは

 


・積み上げてきたものを壊すのがもったいない

 

・協力してくれた人に申し訳ない

 

・やり直すことはできない

 


こんな感覚をちゃんと持っているかどうかだ。

 

 

 

この感覚ってすごい。

 

リセット願望の強い抑止力になる。

 


壊すのがもったいないから
壊すことは絶対にしたくないと思える。

 


それだけじゃなくて

 

壊したくなる度に
力を貸してくれた人の顔を思い出すことになるから
度々忘れていた感謝を思い出す。

 

自分はこんなに人に助けてもらえる人間だったんだと思い返して
あったかい気持ちになって自信になって
壊したい気持ちが薄れる。

 

 

 

私にとっては
やり直すことは出来ないんだという感覚をつかめたことは
すごく大きかった。

 

何かを新たに作り替えることは出来るけど
本当のリセットは出来ないんだということ。

 


私がやったことは必ず誰かが見ていて
新たに作り替えたとしても
以前に「何かを作って壊した」という事実は決して消えない。

 


それが分かってから
何をやるのでも丁寧になった。
やり直せないし、なるべくなら壊したくないから。

 


こんな感じで
私はリセットしなくなり、リセット願望が薄れた。

 

 

 

ただ一つだけ悩みが出てきた。

 


以前は壊しまくっていたせいで

 

なかなか積み上げられないし
本当の力がつかないし
人からの信用は無くして苦労していたけれど

 

ごくまれに
壊したことが功を奏して
どん詰まりのところから活路を見いだすこともあった。

 


今はそれがなかなか出来なくなってしまったのだ。

 


もう壊すしかない状況でも
だましだましやっていて八方ふさがり。

 

停滞していても
その状況を打ち破ろうとしない。

 


こんな傾向が強くなってしまって
守りに入りすぎている自分に今度は自己嫌悪・・・

 

 

 

なかなかどうして
このバランスって難しいねぇ。

 

 

 

 

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