逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

自分を知って感情をコントロールする

怒りたくないのに怒ってしまう

 

そんなに怒ることじゃないって
頭では分かっているのに怒りがこみあげてくる…

 

こんなことって結構ありますよね。

 

 


どうして怒りを上手くコントロールできないんでしょうか。

 

 


実は上手くコントロール出来ない人には理由があるんです。

 

 


程度の差はあれ
人は八つ当たりをしながらコミュニケーションをとっています。

 

私もそうです。

 

 


自分は八つ当たりなんてしない!

したことない!

 


いま心の中でそう思った人、多いんじゃないでしょうか。

 

 

でもね
そんな訳はないんです。

 

どうしたってしちゃうものなんです。

 

 


もちろん


分かりやすい八つ当たりはしない人は多いと思います。

 

 


私もそうです。

 

毎日八つ当たりをしないよう
つねに気をつけていますが

 

それでも完璧には防げません。

 

 

 

心の健康のため
自己啓発
カウンセリングなどで

 

「自分を知る」ことが一番大事だとされているのは

 

「自分を知る」ことで八つ当たりを減らし

 

「自分の言動をコントロールする」ためなんですね。

 

 


言い換えると
「自分の言動をコントロールできない」のは

 

「自分が分からない」せいで


他のことで喚起した感情が
違う場面で勝手に出てきてしまうせいなんです。

 

 

 

分かりやすい八つ当たりはまさにそうですよね。

 

いつもはそんなに怒らないことなのに
イヤなことがあって虫の居所が悪いと


揚げ足をとるように怒ったり
ものすごく大きく怒ったり。

 

 

 

でも意外なところでも
私たちは常に八つ当たりをしています。

 

 

 

なんか分からないけど
好きになれない嫌な感じがする人がいる。

 

何かされたわけでもないし
ちゃんと話したこともないのに…

 

それで自分が嫌な感じがするから
この人は「嫌な人なんだ」と思ってしまう。

 

 


これも八つ当たりです。


理由もなく嫌な感じがする人は


過去に
自分に対して嫌なことをしてきた人に
どこか似ているところがあるんです。

 

 

顔や背格好
声や振る舞い
服の感じ
ちょっとしたところでも似ていると

 

自分はもうその嫌なことをされたことすら
覚えていないはずなのに


その人を「嫌な人」と思ってしまう。

 

 

まだあります。

 

 

人の間違いを強く非難したり
正しいことを激しく強要したり
揚げ足をとったりする。

 

自分だって完璧ではないし
言える立場にないし
良心に従っているわけでもない。

 

 

それでも


「正しいこと」を主張しさえすれば


強く非難することが許されるので気が晴れるからそれをする。

 

 


これは


普段自分が我慢している人
自分も義務ばかりに縛られ抑圧されている人が
そのやりきれなさを解消するためにしている八つ当たりです。

 

 

 

トラウマがある人が

特に感情コントロールが悪いのもこんな理由なんです。

 

 

過去に沢山の嫌なことがある。

 

嫌なことなんて言葉では到底表現しきれないような
つらい経験があり

 

苦しい経験だからこそ
「忘れよう」
「無かったことにしよう」とします。

 

 


でも普通に生活しているだけで


その沢山の苦しい経験で出会ったものに似た
人や物、場面に遭遇することになります。

 

そのたびに
自分では分からない強い感情が喚起することになります。

 

 

人を嫌いすぎたり怯えすぎたり

人に怒りすぎたり

そんな感情を押し込めたり、そんな感情を持つ自分を責めたりします。

 

 


これを防ぐために

 

過去を振り返って

 

自分はどんな体験をして
どんな時にどんな相手にどんな嫌な思いをしてきたのかを
しっかりと見つめて

 

今起きていることと過去を切り離すことで
八つ当たりを無くしていくんです。

 

 

 

つまり
八つ当たりを減らす為には
自分の今の気分や感情をしっかりモニタリングして

 

それがどこからきているのか
出所をはっきりとさせなければいけないんです。

 

とても難しいですね。

 

 

 

普段よりイライラしているようだったら

 

体調が悪くないか

 

不安に思っていることがあるんじゃないか
考えてみたり

 

 

 

怒りっぽくなっていたら

 

何か嫌なことがあって
まだ自分の中で解決していないんじゃないか

 

何かショックなことがあって
本当は傷ついたんじゃないか考えてみたりしてみてください。

 

 

 

嫌なことを無かったことにしようとしたり
ショックなことを忘れようとすれば

 

そのときは楽になりますね。

 


でもそれでは

これまで説明してきたように

違うときに八つ当たり的に感情が出てくることになり

 

感情のコントロールがどんどん難しくなることになります。

 

 

 

感情のコントロールには


今の自分の本当の気持ち、感情を知ること

過去の自分の嫌な出来事を把握することが必要なんです。