逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

高機能型の境界性人格障害の原因⑤ー人の言葉を聞き入れないー


ちょっと想像をしてみてください。

 


自分が尊敬する人、あるいは
自分は敵わないと認める能力を持っている人にこう言われます。

 

「それは違う。こうしたほうがいい」
「君はここを修正したほうがいい」

 


多少は落ち込むかも知れませんが
それだけ自分が認めている人に助言をもらえたら

とても有り難く感じ、素直に聞けるのではないでしょうか。

 

 


もし
「君はダメだ」
「全然努力不足だし、まだ未熟だ」

 

こんなダメ出しをされたらショックを受け、腹を立てるかもしれませんが
自分が認めている人に言われると

言うとおりだと認め、奮起をするのではないでしょうか。

 

 

 


次に
自分が尊敬できない人、あるいは自分よりも明らかに未熟だと感じる人で
コネや運の良さで地位や権力を持っている人に
先ほどと同じようにこう言われます。

 

「それは違う。こうしたほうがいい」
「君はここを修正するべきだ」

 

「君はダメだ」
「全然努力不足だし、まだ未熟だ」

 

 


どんな気持ちになりましたか?

 

 

 

「お前に言われたくない」


「自分はどうなんだ」


「上から言うな」


「実力も無いのに権力だけもってる癖に」

 

 

腹が立ってきて

言葉なんて聞き入れようと思えないのではないでしょうか。

 

 

腹が立って仕方がないのに
相手は地位や権力のある人間なので飲み込むしかありません。


相当なフラストレーションが溜まりますね。

 

 


こんなことが毎日続いたら・・・
きっと穏やかなあなたでも、凶暴になってしまいそうな気がしませんか。

 

 

 


高機能型の境界性人格障害の人は、いつもこんな思いをしているんです。

 

 

人の言葉を一切聞き入れることが出来ずに

不当な扱いをされていると強い怒りを持っています。

 

  

 

 

高機能型の境界性人格障害の人は
生まれつきの性質、愛着障害などで発達障害の傾向を持っています。

 

そのせいで能力にデコボコがあり

大変未熟なところがあるのに、何か突出した能力を持っていたり

 

人と上手く関われない、人と温かい交流ができないせいで

人を観察し批判することに長けていたりします。

 

 

このような特徴を持つと

自分が未熟でも、人には問題が無くても

人を尊敬できず、人が未熟に見えてしまうんですね。

 

 

 

 

自分の得意なことだけで人を見れば


いつも自分の方が上で、人を尊敬できるわけがありません。

 

 

自分を棚に上げて、人の特徴だけを悪く捉えれば
人と距離を置いて、人に温かい気持ちを持てなければ

 

いつも人に対して批判や不満だらけになります。

 

 

 

このような理由で人を尊敬できず、人が未熟に見えてしまうのですが
本人がとても未熟なことが大きな問題です。

 


先ほど言ったように能力にデコボコがあるので
どれほど人並み外れた能力を持っていようと

ある部分では非常に未熟です。

 

人を観察し分析して、問題に対してどう対処すれば良いか頭で分かっていても
自分にもその目を向けなければ、自分でも行動してみなければ

自分に甘く他人に厳しいだけの人です。

 

 

 

ただでさえ
尊敬できない人に、上から指摘され怒りを抱えているところに

 

自分の目立つ未熟さを

その尊敬できない人に笑われたり馬鹿にされたりするので
人への怒りはとてつもないんです。

 

 


発達障害の傾向があってデコボコがある

 

発達障害の傾向があって人を批判的にしか見られない

 

理由があってこうなっているのですが

 

 

未熟さが目立っているのに口だけは立派
自分のことは棚に上げて人のことばかり批判する

人からはこんなふうに悪くしか捉えられませんよね。

 

 

人を尊敬できず、どこか上からの態度

人と上手く関われず、よそよそしい態度

人に対して恨みや怒りを抱えている雰囲気

 

これでは

どんなに努力しても人間関係が上手くいくはずがありませんよね。

 

 


こんなふうに
人を尊敬できないために人の言葉を聞き入れないだけでなく

 

さらに
人間不信によって、もっと人の言葉を聞き入れなくなってしまうんです。

 

 

 

 

人の言葉を聞き入れられない

 

これは大きな助けを失っている状態です。

 

 

人の言葉には心の助けになるものが多くあります。

 

 

思い込みを無くしてくれたり

 

慰めてくれたり

 

リラックスをさせてくれたり

 

励ましてくれたり…

 

人生で困った時に

沢山のものを与えてくれます。

 


それなのに人の言葉を聞き入れられなければ

 

思い込みに囚われたまま苦しみ

 

落ち込んだまま打ちひしがれ

 

緊張が緩まることはなく

 

気分転換もやる気を出すことも難しい…

 

 

全部一人で抱えて苦しみ、一人で対処することになってしまうんですね。

 

 

高機能型の境界性人格障害の人の心が荒れ果ててしまうのは


この「人の言葉を聞き入れない」ことが大きい。

 


まずは人の言葉が聞き入れられるよう

 

自分にはデコボコがあるから

能力が高い部分もあれば未熟な部分もあるんだと認めること

 

自分が人間不信だから

人を批判的にしか見られていないんだと知ること

 


そして

誰かとちゃんと関わり、温かい交流を持ち続ける経験をゆっくり積んでいけば

人の言葉が心に入ってくるようになり

 

一人で抱えて苦しむことも、一人で対処することも減り

少しずつ穏やかになっていきます。

 

 

 

 

 

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