逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

自叙伝㉝本当の自分を出せない私

中学生になると
私は小学生の時とはキャラクターが大きく変わった。

 


小学生の時は
解離性同一性障害
一時的に色んな性格になっていたが

 

基本的には
グズでノロマでウッカリばかりしているけれど
いつもヘラヘラと笑っていて
明るく面白いことが大好きで
どんな扱いをされても人に懐いていく

 

「人は良い」というキャラクターだったと思う。

 


この頃も
ADHDASDの両方の特徴は見られたものの
主にADHDらしさが表に強く出ていた。

 

 

 

中学生で大きく性格が変わったということは
私に何かのキッカケがあったのだろうか。

 

思い出してみると
ある日を境に急激に変化をしたというよりも
少しずつ変化をしていったと思う。

 


小学生の高学年から性格の変化は始まっていた。

 

中学生になってから環境の変化とともに
ASDらしさが大きく表に出るようになったのかもしれない。

 

 

 

小学生の時に

 

衝動的に行動を起こすこと
自分の気持ちを真っ直ぐに表現すること
自分の気持ちに従って思い切り楽しんだり怒ったりすること

 

これによって
今まで書いてきたように
沢山傷つき、恥をかき、自己嫌悪し、人を恐怖し、混乱することになった。

 

 

 

本当に何度も何度も苦しい思いをして
私はこの経験から学んだのだと思う。

 

「自分を出さなければ自分を守れる」と。

 


そうやって
衝動性を無くし
感情を無くしていったのだと思う。

 

 

 

小学生の時の私は

 

ADHDの症状のせいでそんな行動をとってしまい
沢山の傷つき体験をしたのだが
もちろんそんなことが理由だなんて分かる訳がなかった。

 


1980年代は
ADHDなんて概念は無いような時代だ。

 

私だけでは無く
ADHDの子はみんな「おかしな子」が代わりの呼び名だった。

 


「おかしな子」である自分が
衝動的で乱暴で感情的で人に迷惑をかけるのだから

 

それをやめればいい
それをやめないのは自分がダメな人間だからだ

 

私はそう思っていた。

 


だから本当の自分を全く出さないことが正解なんだと
思い込んでしまったのだ。

 


衝動や感情をコントロールして出すとか
内に秘めるという方法があるということなんて分かるはずがない。

 

そもそも
分かっていてもやり方が分からなかっただろう。

 


そして
だんだんと
自分の感情を表現しなくなってしまった。
自分らしく感じることすらしなくなってしまった。

 

 

 

この頃を思い出すと
記憶全体がどんよりとしている。

 


自分の感情を無くすこと
感覚を麻痺させること
自分の内面を一切表現しないこと

 

これがどれだけ私に負担がかかっていたのだろう。

 

 

 

何ともいえない重苦しさがあった。
体の感覚を覚えている。

 

顔の筋肉が硬直している感覚や
瞼が重くて目が開かない感覚があった。

 

いつも憂鬱で面倒だった。
完全にエネルギーを無くしていた。

 

 

 

その時の自分を
客観的に振り返ってみると

 

いつも不機嫌で陰がある。

偉そうで取っつきづらい。

ツンデレという感じ。
こんな子にみんな心当たりがあるのではないだろうか。

 

真面目な学級委員ではあったけど
多分ヤンキーのような雰囲気を醸し出していたと思う。

 

 

 

本当はみんなと同じようにはしゃぎたい時も
はしゃぎ方が分からなくて
「みんな子どもね」と大人のフリをして苦笑いしていたシーンを思い出す。

 


本当は嬉しくて仕方がないのに上手く表現出来なくて
「嬉しそうにしてよ。気分が悪い」
「嬉しくないならもういい」
と言われて
そうじゃないのに、とパニックになっていたのを思い出す。

 


いつも憂鬱だから
みんなが楽しんでいることを楽しめなくて
「暗い奴」
「あなたといるとテンション下がる」
と言われて
根暗な自分、人につまらない思いをさせる自分に
ほとほと嫌気がさしていたのを思い出す。

 


私はこの時期の自分が嫌いだ。

 

ADHDが全開の小学生時代は
人に沢山迷惑をかけて馬鹿にされて叱られたけれど
この時期の自分ほどは嫌いではなかった。

 


この時期の自分は
自分である感覚がない。生きているような感覚がない。

 


いつもどんよりとしていて周囲に迷惑をかけていないようで
自分が周囲の空気をどんよりとさせているようで消えたかった。

 

クールなフリをしてかっこつけて
弱さも無知も何にも出せないのがつらかった。

 

人と仲良くしたいし甘えたいのに
偉そうにしているせいで思うように仲良く出来ず甘えられなかった。

 

 

 

なんと表現したら良いか分からないけれど
自分のことを自分で囚われの身にしている感じがした。

 

誰かに強制的にそうされてるわけではないのに
自分のことを全く自由に出来ない。
がんじがらめな感覚がずっとあった。

 


これが本当に苦しかった。

 


衝動性を無くし

感情を無くし

感覚を麻痺させることに成功して

 

やっと
人に迷惑をかけたり叱られたり笑われたりすることは無くなった。

 

何故か
人に頼りにされたり
人に色んな場面で高い評価をもらったり
大人っぽい、落ち着いていると褒められたりするようになった。

 


私の望みは叶ったはずなのに
本当の自分を出せなくなった私のフラストレーションはどんどん膨らんでいった。