逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

高機能型の境界性人格障害の症状を軽くする方法②ー自分の気持ちを探していくー

境界性人格障害の人は、一見して感情が豊かに見えます。

 

でも本当は
自分の感情が全く分かっていないんです。

 

 

 

明るく楽しくしているときは

 

不安から逃れるためにテンションを上げているだけ

 

目の前の人に喜んでほしくてサービスしているだけ

 

子どもに戻ってはしゃいでいるだけで

 


嬉しい、楽しい、幸せといった感情は持てていません。

 

 

 

激しく怒っているときは

 

怒りというより

 

不安や恐怖、恥ずかしさ、寂しさだったりします。

 

 

 

激しく泣いているときは

 

悲しみというより

 

自分の無力さや惨めさを嘆いていたり
気持ちを言葉にできない苛立ちだったり
人の不誠実さに落胆していたりします。

 

 

 

高機能型の境界性人格障害の人は
普通の人よりも
感情の幅が広く、感情の量も多いという特徴があります。

 


それなのに
感情の捉え方を教えてもらえずに
自分の感情が分からないまま

 

喜怒哀楽の単純な感情に置き換えてしまってきているんですね。

 


そうすると
自分の感情が分からずに混乱します。


いくら感情を吐き出しても楽にならずに溜まっていき
強い感情がコントロールできなくなります。

 


感情表現ができないので、いくら話しても伝わらないため
自分で苦悩を抱えるようになり
負荷がどんどんかかっていきます。

 


これが
高機能型の境界性人格障害の人の苦しみの理由の一つです。

 

 

この自分の感情の分からなさは

境界性人格障害だけでなく他の様々な心の問題の原因でもあります。

 


自分の感情が分からない人は

 

その細かい感情を一つ一つ捉えて
自分の感情の幅を把握する必要があります。

 

そして
その細かい感情を言葉にして吐き出すことができれば
1人で沢山の苦悩を抱えないようになり
少しずつ負荷が減っていきます。

 

 


これを具体的にどんなことか説明しますね。

 


ある人がこんなことを話しているとします。

 


「職場の上司はとても周囲の人に好かれています。
 確かに明るくて面白くて優しい。
 でも私にはそっけないんです。
 これって上司として失格ですよね!最低ですよね!
 それにすごく裏表がある人で
 人の悪口も言ったりするんです。
 みんなはその上司を褒めるので私は何も言えないんですけど
 すごく態度がころころ変わるし嫌な人です!
 私だけがうまくやれないから、私は間違ってますか!?」

 


自分の感情に気づけない人はこんな話し方をします。

 

よく聞くような感じではないでしょうか。

 

 

そしてこの話にのって


上司がどんな人間なのか話し合い上司を批判し
この人を擁護するのではないでしょうか。

 

 

実はそれでは
この人の気持ちはすっきりしません。

 

この瞬間だけは気持ちが晴れるかもしれませんが
すぐにもやもやするはずです。

 

 

 

これに感情をのせたらどうなるでしょうか。

 

 

 

職場の上司はとても周囲の人に好かれています。
確かに明るくて面白くて優しい。
でも私にはそっけないんです。
(上司の態度で自分が嫌われているんじゃないかと不安。
 みんなが好いてる人に嫌われていると思うと
 自分が全否定されたような気がしてショック。)

 

これって上司として失格ですよね!最低ですよね!
(私が悪いにしても、態度で示すなんてショックで悲しい。)

 

それにすごく裏表がある人で
人の悪口も言ったりするんです。
(良い人に見える人の裏表が怖い。)

 

みんなはその上司を褒めるので私は何も言えないんですけど
すごく態度がころころ変わるし嫌な人です!
(みんなが褒めると言うことは、悔しいけど自分が
 間違っているかもしれない。でも私はこの人が嫌い。)

 

私だけがうまくやれないから、私は間違ってますか!?
(私は自信がないから、分からない。教えてください。
 でも私を間違っていないと言ってほしい)

 

例えばこんなふうになります。

 


一見愚痴を言っているようで
全く自分の思いが分からないし言えていない。

 


こんなふうに
大人としてきちんと話そう。
感情を抑えて分別のあるふりをしようとして
激しく感情を吐露しても
余計に自分の感情が分からなくなってしまいます。

 


人前で分別があることは大事です。
でも結局は感情が溢れてしまうんですよね。

 


感情は抑えると必ずリバウンドします。
大きくなって戻ってきます。

 

分別があるように話そうとすることで
自分の感情を否定してしまっていて
余計に感情が大きくなってしまう。

 

本当の感情が分からなくて
さまざまな感情を全て怒り一つで表現してしまうため
とてつもない大きさになってしまう。

 


だから
上に書いたように
本当の自分の気持ちを探していくことが大事です。

 

これが難しいので
自分の感情を代弁してくれる人がいるといいですが
自分の感情が分かっていない人は多いので
代弁する事が出来ない人も多いんですよね。

 


とりあえず出来ることをやりましょう。

 

正しいことだとか
大勢がどう言っていたとか
人からどう思われるかは一旦置きましょう。

 

自分の中で考えるんだから自由です。

 


「自分はどう思っていたのか」
「自分はどう感じていたのか」
問いかけてみてください。

 

そして
「そうだよね」
「そう思っていい」
と否定しないで置くことをやってみてください。

 


自分の感情を見つけること。
否定しないで出していくこと。

 

これが激しい感情を落ち着かせていく方法のひとつです。

 

 

 

 

 

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