逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

アサーション⑤-相手はみんな違う文化を持つ人間-

・アサーションの目的を知る

 

・自分が最も優先したい価値観の確認をする

 

・否定される恐れを乗り越え
 自分と相手の自由を尊重する

 

・相手の話をじっくり聞いて話の詳細を把握し線引きをする

 


ここまできました。

 


あとは「どう伝えるか」ですね。

 


ここまで来ても
まだ間違いやすい点があるんです。

 


当たり前のことですが
意外とみなさん分かっていないのが

 


伝えようとしている相手は

 

「自分とは違う人間である」ということです。

 

 


違う人間ですから

相手はこちらの性格や考え方など分かるはずはありません。

 


違う人間ですから

こちらの事情なんて察してくれるわけがありません。

 


コミュニケーションが苦手な人は

自分と人は同じだからわかるはずという思い込みが強く


「普通こうだから分かるでしょ」
「ここまで言えば分かるでしょ」
「気持ちを汲んでよ」

 

つい伝えることを怠けてしまいます。

 

 


自分のことを伝えるのは

とても勇気が要ることで、面倒なことなんですが

 

相手が違う人間だったら
自分が伝えるしかないですよね。

 

 


例えば
どこかの国の外国人の方と交流を持つとき

 

 

普通はそこでおじぎするでしょ


普通は知らない人に笑顔で挨拶しないでしょ


普通は異性でハグなんてしないでしょ

 

 

なんて

日本と異なる点を否定しないですよね。

 

 


その国の文化はどうなのか知ろうとするし
知った上でそこは尊重して

 

日本の文化、日本人の傾向はどうなのかを改めて考えて
違うところを必死に伝えようとするでしょう。

 


外国人にだったら出来そうですね。

 

 


ところが
同じ日本人、同じ教育水準、同じ職場、親しい人などになると


「伝えなくても分かるでしょ」となってしまう。

 

 


相手を尊重するためには

 

まるで外国人と接するように
異なる文化を受け入れるように

 

「相手は違う文化を持つ人間なんだ」
と理解することが重要です。

 


そうすれば

 

なるほど
あなたは(違う価値観があって)そう思うんですね。


私は(違う価値観があって)こう思います。

 


なるほど
あなたは(違う経験や環境があって)そういう事情があるんですね。


私は(違う経験や環境があって)こういう事情があります。

 


そういうお互いの(違う文化が背景にあって)違いをふまえて
どう考えていきましょうか?

 

となっていくんですね。

 

 

 

違う文化があると想定できないから

 


ワタシはこうだ!(折り合わないのはアナタが間違ってる!)

 

ワタシには事情が!(仕方ないでしょ!分かってよ!)

 

じゃあどうします?(ワタシはもう決まっているけどね)

 


なんて喧嘩腰になってしまう。

 

 

 

違う文化が想定できれば

 

ワタシ(の文化では)はこう思う。

 

(ワタシの文化の都合だけど)
すみませんが、こうしてほしい。

 

(ワタシの文化の都合だけど)
こうしてくれたら助かります。

 

こちらの都合ですみません。

 


こんなアサーションらしい言葉が
自然に言えるようになるはずです。

 


相手はまるで外国人のように
違う文化や経験や環境を持っている

 

それを
しっかりと実感することが
アサーションスキルを上達させることになるんです。