逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

自分のことが好きになれない理由

カウンセリングをしていると

 

その人が自分自身に対して持っている印象と
実際のその人は全然違うとよく思うんです。

 


自分のことを
実際よりも悪くとっているように感じるんです。

 

 

 

たとえば

 

自分のことを怖いと思っている人が
とても可愛らしく純粋であったり

 

自分のことを狡く汚い人間だと思っている人が
要領が悪くまっすぐでお人好しだったり

 

自分に甘いと思っている人が
自分にとても厳しかったり・・・

 

 

 

実際は良い部分が沢山あるのに

 

「自分はどうしようもない人間」

 

「自分は人より劣っている」

 

「自分が恥ずかしく情けない」

 


こんなふうに

 

無力感、劣等感、罪悪感、恥・・・などの気持ちを大きくして

 

自分のことを嫌悪して
自尊心をどんどん下げていってしまっているようです。

 

 

 

実際に悪い部分なら
見つけて修正する必要はあるかもしれません。

 


でも
本当はそんなことはないのに

 

こうやって自尊心を下げていってしまうのは
とても残念なことだと思いませんか。

 

 

 

なぜこれほどまでに
自分のことを誤解してしまうんでしょうね。

 

 

 

話を聞いていて気づくのは

 

どうもみなさん
自分には一面しかないと思っているようだということです。

 

 

 

人間には色んな面があって当然ですよね。

 


善だけの人も悪だけの人もいない

 

優しい部分もあれば怖い部分もある

 

秀でている部分もあればダメな部分もある

 

誠実な所もあれば計算高い所もある・・・

 


この割合や度合いは人それぞれ違っても
誰でも一面だけの人なんていないはずです。

 

 

 

それなのに
多くの人は自分を一面だけに決めようとします。

 


完全なる善人ではないから
自分は悪人だ

 

いつも優しくできないから
自分は優しくない

 

自分は怖いと言われやすいから
自分は怖い人間

 

完璧にほど遠いから
自分はダメな人間

 

計算高い所があるから
自分はずるい人間

 


こう自分を決めつけてしまうんですね。

 

 

 

人間だから完璧ではない
悪い部分やダメな部分がある

 

それなのに
自分に一面しかないと思っていたら
自分を悪く思うことになってしまいますよね。

 

 

 


また
自分の人間らしさを
拒否して許さないようにも見えます。

 


怖いと思うなんて情けない

 

ポジティブでいられないなんて弱い

 

小さな事で一喜一憂するなんて幼稚

 

正しくないことが浮かぶなんて汚い

 

怠けるなんて堕落している・・・

 


こんな感じでしょうか。

 

 

 

こんなことは

人間なら、とても自然なことですよね。

 


人間は
体調や心の調子のリズムがあって感情が揺れ動きながら
さらに日々色んな出来事が起きる。

 

これで
いつも変わらず平然として
いつも変わらず上手くやれるわけがありません。

 

 

 

人間らしい自然のまま放置してはあまり上手くありませんから
努力して変えていくことも必要だと思います。

 


でもまずは


人間の調子には波があって
心の中でも感情の波があって
日々の出来事にも波があることが自然なことだと受け入れて

 

そこから
なるべく同じ調子でいられるように努力していけばいいですよね。

 

 

 


人間らしい不完全さを全て表に出すことは
大人としてはあまり人には受け入れられづらいでしょう。

 


でも
心の中で色々と感じるのは

 

誰にも見せることはないんだから大丈夫です。

 

豊かな感性をもつことであり
人間らしい魅力ではないでしょうか。

 

 

 

心の中で存分に怖がっても
その後落ち着いて行動出来ればいいですよね。

 


不調な時や、不慣れな事や苦手な事に挑戦する時
不安になって当然ですよね。

 

そこから勇気を出して挑戦出来ればいいですよね。

 


小さな事で一喜一憂していても
1人で感じているだけなら
人に感情をぶつけなければいいですよね。

 


心の中に汚いことが浮かぶのは
疲れて限界の状態だったり自尊心が低くなっていたりすれば
当然起こることです。

 

それを口にして人を驚かせなければいいですよね。

 

 

 


こういった人間らしい自然な部分を

 

全て自分だけのものとして
未熟で愚かで恥ずかしいと否定して

 

自分のことを悪くとらえてしまっている。

 


完璧に人間らしい波を全て無くそうとして

 

心の中の動きを止めようとしたり
心の中に浮かぶものを無くそうとして

 

人間らしさをどんどん無くしていってしまうのは
悲しいことではないでしょうか。

 

 

 

人間らしさはあまり格好良くないですから
なかなか受け入れがたい部分ではありますけどね。

 

 

 

 

自分だけでなく

 

みんな色んな面があって
良い面だけの人はいない

 


自分だけの未熟さ愚かさだと思っている部分は
人間みんなにある部分で
良くしていくことは出来ても消すことは出来ない

 


こう考えてみると

 

自分ってそんなに悪くないと思えてきませんか。

 

 

 

 

 

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