逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

世の中にこんなに美味しい食べ物があるなんて


「世の中にこんなに美味しい食べ物があるなんて」

 

 


私はこれまでの人生で
何度この言葉を言っただろう。

 

 

機能不全の家庭で育った人あるあるじゃないかな。

 

 

 

経済的に貧しい

 

親が健康オタクで食べてはいけないものばかりだった

 

親が自分が好きなものしか食べさせない

 

親が世間が狭く色んなものを食べない

 

 

 

例えばこんな理由で

 

私と同じように
大人になるまで食べたことがないものが沢山あるんだよね。

 

 

 

スナック菓子を食べたことがない
カップラーメンを食べたことがない

 

子どもが好むハンバーグやシチューみたいな洋食は食べたことがなくて
焼き魚、煮物、おひたしみたいな食事ばかりだった

 


こんな人も結構いるよね。

 

 

 


私はどんな食事をしていたんだろう。

ちょっと振り返ってみよう。

 

 


あたたかいご飯は与えられていたな。

 


とりあえずご飯だけは必ず毎日炊いてあったのは幸いだ。

 

 

 

そうそう

当時はちっとも悲しくも、みじめでも無かったので
あんまり重たくとらえないでほしいんだけど

 

 

ふりかけ。


ふりかけが私の主食だったの。

 


大好きだったなぁ。

 


円柱がたのガラスの容器に入った丸美屋の鰹風味のふりかけ。

これさえあれば幸せ。

 

 

あとはねこまんま。鰹節ごはんね。
これも定番。

 

 

マヨネーズご飯も好きだったけど
マヨネーズが減ってるとやたらと怒られたから
そんなに食べられなかったな。

 

 


そして私にとってのごちそう。

サッポロ一番のみそラーメン、塩ラーメン。

チキンラーメンに卵を一つ。

 


たまにしか食べさせてもらえなかったけど
最高に美味しかった。

 

 

 

基本的に
ご飯と言えば

 

めざしとかサンマとかサバとか当時安い魚に味噌汁。

しかも大量購入して長期冷凍してるから相当鮮度が落ちて不味い。

 

味噌汁はダシもろくにとらないし
舌がバカな親が好む味は異常に塩辛い。

 


あとは
経営しているスナックのメニューの残り

 

美味しくない野菜炒め、焼きそば、焼きうどん(何時間も経っている上にタッパーのニオイつき)

 

 

養母は料理が下手だったんだ。

 

酒のアテであれば
油っぽくてしょっぱければ「美味しい」になっちゃうから
それでも何とかなったんだろう。

 

 

 

こんな感じで

食事はずっと罰ゲームだったので


ふりかけご飯が本当に大好きだったの。

 

 

 

あぁごめん。

 

私は悲しくないけど
なんかしみったれた話になっちゃったね。

 

 

 

自叙伝で書いている途中だけど
高校生になってから私の世界は驚くほど広がった。

 

それは食べ物でもすごい変化だったの。

 

 

 

入学した高校が私にとっては夢のような世界で。

 


学食があったの。

 

 


今思えばそれほど美味しいわけではなかったと思うけど
当時の私はもう飛び上がるほど美味しかった。

 


粉っぽい和風のカレーも
醤油がつよい肉うどんも。

 

 

「世の中にこんなに美味しい食べ物があるなんて」

そう思ったね。

 

 

購買のパンも美味しさに度肝を抜かれた。

 

ラップに包まれた焼きそばパン。
焼きそばはのびのびで油テカテカで紅ショウガたっぷり。
手作り感満載の洗練されていない焼きそばパン。

 

 

それだって

「世の中にこんなに美味しい食べ物があるなんて」

やっぱりそう思ったね。

 

 

 

そうそう

購買には青春の思い出があるの。

 

 

購買は戦場で、休み時間になると大勢が押し寄せ

押し合いへし合いで普通に待っていても絶対に買えない。

 

 

こんな時
彼や男友達に「お願いー」なんて言って
戦ってきてもらうのが私は好きだった。

 

自分のためにあんな大変な所で戦ってくれるなんて愛を感じる・・・

 

と眺めて悦に入る。

 

 

なんて歪んでいるんだ。悪趣味。

 


本当は私なんて
自分でウォーって突入して人をなぎ倒して行けるのにね。
かわいこぶってる時代。

 

 

 

話がズレた。

 


高校生になると


お嬢様やお坊ちゃまが多い学校だったしアルバイトしている子も多かったから

みんなお金があって

毎日のようにマクドナルドやケンタッキーに寄っておしゃべりをする。

 

 


これがね

 

「世の中にこんなに美味しい食べ物があるなんて」

体験の連続だった。

 

 

 

ケンタッキーの生まれて初めてのスパイス体験

新鮮でジューシーなチキン

 

 

マクドナルドのハンバーガーという私の中では初めての複雑な味

あつあつでサクサクで鼻から抜ける香ばしい香りのポテト

 

 

私には

とんでもない美味しさだった。

 


未だに

ケンタッキーを崇拝しているのと

 

グルメハンバーガーの台頭で
マクドナルドが陥落したって私の中ではまだまだ美味しいと思っているのは

 

高校生の時のこの強烈な体験が抜けていないからなんだろう。

 

 


まだまだある。

 

サイゼリアのミラノ風ドリア。

 

高校生でファミレスって、ちょっと敷居が高くて。

しかも当時サイゼリアってオシャレな印象。

 

 

ミートソースにクリームソースにチーズにご飯…

とんでもない美味しさ。

 

ドリアなんて食べ物知らなかったよ。

 

ミラノ風ドリア食べてるだけで

なんかイケてる気分だった(笑)

 

 

 

 

パン屋さんのチョココロネ。

 

 


友人がアルバイトをしていて
余ったパンを翌日持ってきてくれる。

 

菓子パンとの出会いはここだ。

 


パンといえば
給食のコッペパン、揚げパン、食パンぐらいしか知らなかった。

 


チョココロネ。

 

こいつはとんでもない。

 

パンの形が可愛すぎる。

 

パンをちぎるとクルッと剥がれるパン生地。

 

女子高生、チョコレートに目がない。
しかも食べたことのない柔らかくてなめらかなチョコレート。

 

そのなめらかなチョコに香ばしくつやつやの茶色のパン生地が合う。

 


チョコが入っていないとこをちぎって
自分の塩梅でチョコをつけながら味わう・・・

 

上手く食べられなくて何度もチョコを落下させる・・・

 

 

多分もう10年は食べてないけど
チョココロネは私の中で衝撃な食べ物だった。

 

 


まだまだどこまでも書けそうだけどキリが無いから最後。

 

 


高校生の頃
彼が頑張って私のためにオシャレな所をと調べてつれてってくれたのは
すうぷ屋さん。

 


今ほど
スープやシチューは一般的じゃなかった時代。

 

家庭でクリームシチュー
外食でビーフシチューぐらいだったよね。

 


そんな時代に

オニオングラタンスープとかホットパイとかがメニューにあった。
名前もメアリーおばさんのトウキビ畑とかシンデレラのリムジンとかオシャレで。

 

最先端!って思ってた(笑)

 

 

給食のシチューしか知らなかった私が
クラムチャウダーに出会ってしまった。

 


「世の中にこんなに美味しい食べ物があるなんて!」

 


もうその場を走り回りたいぐらいの興奮だったんだけど


彼はお坊ちゃまで家庭で普通にこんなの食べてる人だったので
私も「まぁまぁね」みたいな涼しい顔していたっけ。

 

 

そう
そんなわけで

クラムチャウダーも私の中で特別な食べ物。

 

 

 

みんなの子どもの頃の

「世の中にこんなに美味しい食べ物があるなんて」

はどんなもの?

 

 

 

 

 

 

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