逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

自叙伝50 友人を親代わりにする私

 

高校1年の最初の半年で天国と地獄を味わった後

 


バレー部の先輩や仲間との関わりで元気を取り戻し
成熟した心に触れて少しだけ心が成長し

 

ここから1年は人生でも最高の時期だった。

 

 


幸せすぎて身の丈に合わなかったせいか
結局はまた地獄に落ちるせいか

 

この頃のことを思い出すのもまた、苦しい。

 

 

バレー部では大好きな尊敬できる先輩がいて
先輩は私を可愛がってくれて少しだけど話を聞いてくれて
バレー部みんな仲良しで穏やかで

 

信じられないほど幸せだった。

 

 


ずっと視界に入っている人間(養父母)は
恐ろしく汚くずるく私を痛め付けて奴隷扱いしかしない。

 


私が見える範囲にいた人間は

私を恐れ変人扱いして排除して私の言葉を聞こうとはしない。

 

 

役に立つときだけ私をまつりあげ、役に立たなくなれば捨てる。
気が向けばチヤホヤして気が変われば冷たくする。

 

みんな自分勝手で感情を丸出しで
いつも和を必死に保とうとするのは私だけ。

 

 

 

お金があって育ちが良い

 

そんな生徒が多い高校だったから
私が見てきた世界の人とは全然違ったんだと思う。

 


私にとっては信じられないほど幸せで夢の世界だったのに

 

他のバレー部の子はというと

私が大好きで尊敬する先輩たちや
バレー部内の小さな問題とかに結構不満を持っていた。

 

酷い環境にいた私にとっては素晴らしいものでも

 

普通に育ってきた人たちにとっては
それほど素晴らしい先輩でも、素晴らしい部活でもないみたいだった。

 

 

 

私にとっては夢の世界だったものが
他の人には不満だらけの世界・・・

 

それまでの経験で見える世界は全然違うようだ。

 

とにかく私は
自分が普通の高校生のような経験が出来ているなんてことが
信じられなかった。

 


モテることは続いてた。

 

他のクラスのアメフト部の同級生、バレー部の人気者、サッカー部の人気者
同じ時間の電車に乗っていた同じ高校先輩、他校の生徒
部活の時よく見かけたバスケ部の人

 

そういう人が私を好きだと言って

 

手紙をくれたり、呼び出されたり、周囲の人を巻き込んで大騒ぎしたり
毎日自尊心が上がるサプライズばかりが続いた。

 


ブスで変人で男勝りで乱暴で気持ち悪い行動をとる小学生

 

暗くて影があっておとなしくて変わっている
反抗的でツンとしていて変に大人びている中学生


こんな私が
普通に見られていて普通にモテる女子高生として扱われているなんて

不思議で仕方が無かった。

 

 


高校2年になるとコース選択があった

私は理系クラスに進んだ。

 


高校1年の時の担任が数学の教師で
これが良くも悪くも私の人生を大きく変えた人物。

 

この人については書きたいことが沢山あるので
また後で詳しく語るけど

 

この人との出会いで数学が好きになり
理系クラスに進むことになった。

 

 

理系クラスに進んだこと。

これもまたしつこいようだが
私にとって人生を分けるとんでもない幸せな選択だった。

 


理系クラスには女子が少ない。
7人くらいだったかな。

 

その7人も普通の女子とは違う感じ。
人のことは言えないけど変わった感じの子が多かった。

 


そこにはケイコもいた。


ここからケイコとの中が急速に深まっていった。

 


ケイコは本当に不思議な子で

大人しくて引っ込み思案であんまりおしゃべりじゃないのに
かもしだす雰囲気が太陽のようでみんながケイコを大好きだった。

 


私もケイコが好きで仕方がなかった。

 


小学生の時にあすかちゃんという女の子がいた話を前に書いたけど
その時以来かな

心からどうしようもなく好きだったのは。

 

 

恋愛感情かどうかと問われると違うと思う。

 

触れあいたいとかそういう感情は無かったけど
自分だけのものにしたいっていう狂ったような独占欲が私にはあった。

 


あすかちゃんの時もそうだったけど


私は包容力があって人間的に美しい人を
親のようにさせて独占したかったのかもしれないと思う。

 


表向きは
モテて花があって元気で誰とでも話せて笑いが絶えない・・・
そんなふうに見られていた私と

見た目も地味でおとなしいケイコの仲良しぶりは

 

人からは見た感じ不思議な2人に見えていたようだった。

 

 

ケイコ自身もそんなふうに思っていたみたいで

「みゆは人気者なのに私がみゆと仲良しなんてね」
なんてよく言ってた。

 


本当は私は

自分のような性格が悪くて頭のおかしいどうしようもない人間が
ケイコのような素晴らしい人といられるなんてって思っていた。

 


でも認めるのが怖くて
また偉そうに「そうかな」なんて言ってた。

嫌な奴だ。

 

 

ケイコは親が教師だった。
また・・・と思った。

私は親が教師の友人が本当に多かったから。

 

 


ケイコのお姉さんは病気だった。

 

ケイコが優しくて強くて人の気持ちがわかるのは
そのせいだったのかもしれない。

 


私が生い立ちの話をしっかりしたのはケイコが初めて。

はじめてしっかりと話を聞いてくれて涙を流してくれた。

 


孤児院(当時そんな言い方)にいた話
ネグレクトや愛情を全く与えられなかった話ぐらいで

 

性的虐待の話や暴力の話、スナックでの仕事、学校での苦労は
受け止められないと思ったし引かれると思ったからしなかったかな。

 

 

だけど私にとって
ここまで打ち明けてわかってくれたことが信じられなくて

この日から私はケイコに執着しはじめてしまったんだ。

 


朝から休み時間事に一緒
部活でも一緒
部活帰りはファーストフードでお茶をして帰って

 


それだけじゃ足りなくて
休みには一緒に勉強して

 

ケイコの彼の親友が私を好きだというから付き合って
4人でダブルデートをして


本当に毎日一日中一緒に過ごした。

 

 

自分のことをわかってくれている
自分のことを好きで居てくれて尊敬してくれてる

 

そんな人と恋愛や勉強や部活や人生・・・色んな話ができる
一緒に部活やデートや勉強と楽しめる

本当に幸せすぎた。

 

 

いつも自分は居場所が無かったし

いつ人が自分の正体を見破って嫌いになられるかとビクビクしていたし

いつも好かれる姿を考えながら演技して振る舞ってた。

 

 

それがそこにケイコがいれば
私の居場所になった。

 


部活でも私がめいいっぱい皆の前ではしゃげるのは
ケイコが私を見てたから。

 

クラスでみんなを笑わせられるのは堂々としていられるのは
ケイコが微笑んでいてくれたから。

 

ダブルデートでもつまらないと不機嫌にならなかったのは
いつもケイコが笑っていたから。

 

 

だからこの時期は何をやっていても幸せだった。

 

ケイコとだけ過ごして内に籠もるんじゃなくて

恋愛も部活も勉強も・・・同時に青春らしいことも
一緒に沢山経験することができて

 

本当に夢のような時間だった。

 

 

この頃の私は異常で

ケイコと一緒に過ごすためにはどうしたらいいか

ケイコに愛されるためには気を引くためにはどうしたらいいか

全てがそのためにあるようだった。


多分もう
境界性人格障害は忍び寄ってきていた。