逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ギフテッドが心の健康を保つには知らない努力が必要

ギフテッドの苦しみを日々聴いていると
苦しみの元にあるものに共通点があることが見えてきます。

 

 

クライエントの皆さんは一見してタイプが全然違います。

 

職業も性格も見た目も好むものも全く違うんです。

 

それでも不思議なことに
苦しみの元にあるものはとても似通っているんです。

 

 


カウンセリングで早く結果を出すために
私はいくつか協力をお願いします。

 

 

最初の半年~一年は、心に関する本や自己啓発の本を読まないで欲しい


誰かに意見を求めたり、誰かの言葉を聞いたりしないでほしい


世間の話題をあまり入れないで欲しい

 

 

情報を遮断させてもらうんです。

 

 


ギフテッドのみなさんには

 

ギフテッドではない多数派に従わなければならなかった
ギフテッドではない人に理解されない
ギフテッドだけの生まれつきの特徴を矯正させられてきた・・・


こんな苦しみがありますよね。

 

 

 

ギフテッドの人のトラウマを解消していくためには

 

 

理不尽に多数派に従わされてきただけで自分の憤りは正当だった

 

誰にも理解されない孤独は自分のせいではなくて
ギフテッドという性質のせいだった

 

世間一般で正しいとされることに納得がいかないのは
自分が性格が曲がっていて変だからではなく
一般の人とギフテッドの見える世界が全く違うからだ・・・

 

 

こんなことを過去を振り返ってハッキリと認められることが大切なんです。

 

 

 


それなのに

 

勤勉で自分を律しようとする力が強く、知的好奇心が旺盛なギフテッドは

 

沢山情報収集をして正しいことを知ろうと
世間一般の常識を知って努力して身につけていこうとすることをやめません。

 

 

 

そうするとどうでしょうか。

 

 

多数派に従い、生まれつきの特徴を矯正し
人に理解されないのは自分のせいだと考えるといった

 

自分を苦しめてきたことを、また続けようとすることになるんですね。

 

 

 


ギフテッドだからといって
世捨て人になることを推奨しているわけじゃありません。

 


せめてトラウマを解消する期間だけは

 

自分だけに集中して

ギフテッドの常識に従って
自分や周囲を眺めてみることが必要なんです。

 

 

 

ギフテッドではない人との関わりで抱えたトラウマを解消するためには

 

世間一般に正しいとされる情報については一時的に入れないようにする

ギフテッド以外の常識を強いてくる人との関わりを一時的に断つなどしないと

すぐにそちらに引っ張られて戻されそうになり

 

 

ギフテッドの常識とこれまでの一般常識のどっちが正しいのかの綱引きが心の中で起き

大変な苦しみが起きて思うように進みません。

 

 

 


また

ギフテッドは本質が見えてしまうとされています。

 

 


心に問題が起きやすい人は現実をそのまま見ていて

心が健康な人は現実をポジティブに曲げている


こんなことが研究で明らかになっています。

 

 


では本質が見えやすいギフテッドは?


心を病みやすいのも当然のことですね。

 

 


本質が見えてしまうこと

 

これは変えられないですよね。

 

 

じゃあどうしたらいいでしょうか。

 

 

 


「見ない」

「見えないところまで距離を置く」

「本質が見えても大丈夫なものに夢中になる」

 

 

私が浮かぶのはこんなことです。

 

 

 

公平ではない世の中を深く見つめすぎたら

公平ではない人を深く見つめすぎたら心に問題が起きるのは当然です。

 

 

深く見ていい世界はギフテッド自身の人生だけ

深く見ていい人はギフテッド自身だけ

 

私はそう思っているので

カウンセリングで自分に集中してもらうようにお願いするんです。

 

 

 

 

またギフテッドは共感能力が高い。

 

そんなギフテッドが
苦しんでいる人ばかりを見ていたらどうなるでしょうか。

 

 

共感して24時間打ちひしがれて気力体力を使い果たして
自分の人生は全く動かせなくなってしまうと想像できるでしょうか。

 

 

私自身は人生でこの失敗を繰り返してきてしまいました。

 

 

 

世の中には苦しんでいる人
今現在もとてつもなく理不尽な環境で耐えている人が沢山居ます。


インターネットでそういう話を探せば
本当に一生かけてそのような人たちに寄り添い続けることになるでしょう。

 

 

 

世の中の風潮は

「どれだけ苦しんでいる人がいるのか忘れてはいけない」

というものですよね。

 

 

 

確かにそうかもしれません。


でも私はギフテッドの人にいつも伝えたいんです。

 

 


ギフテッドの人に限っては


苦しんでいる人は沢山居る
でも自分の今の力では何もできない

 

そういう人たちの話を聴いて共感してただ力を無くすのは自己満足

 

申し訳ないけど一旦忘れて
目の前の困った人や自分が機嫌良くいられる範囲で
人に貢献していくのが一番世の中の為になる

 


こうやって
割り切って少し冷たい所を持たなければならないと思うんです。

 

 

 


これは私の考えですが

 

ギフテッドの人は望んでいなくても
生まれつき大きな力を与えられてしまいました。

 


その力を生かすのが
ギフテッドの使命なんじゃないかと思うんです。

 

 

何か重たい話になってしまいましたが・・・

 

 

 

大きい力を持っている人がそれを全く使わずに
小さい仕事に従事するのは社会の損失

 

私はこんな感覚があります。

 

 

だから正しいとされることは

 

1人1人の気持ちを理解して寄り添うこと
目の前の困った人の問題を解決することなのかもしれませんが

 

ギフテッドはもっと

ギフテッドにしかできないことをやっていかなければならないと思うんです。

 

 

 

沢山の人に共感するのではなく
一部にフォーカスして深く共感することで生み出せる表現で
一部の人の心を完全に救い出せる

 


すぐに考えつくその場しのぎの対処ではなく
深く考えることや新しいアイディアで作り出せる仕組みで
多くの人を長期的な視点で救う

 


誰かの悲しみや苦しみに寄り添って静かに生きるのでは無く
生き生きと力強く生きることで周囲に大きなポジティブな影響を与える

 


多くの人に合わせながら小さく縮こまって生きるのでは無く
全力で楽しみながら作り出す、多くの人を元気にさせる何か
全力で嘆きながら作り出す、多くの人の感情を振るわせる何かで
沢山の人の心に大きな影響を与える

 

 


まだまだあるかもしれませんが

私はギフテッドにはこういう使命があるんじゃないかと感じています。

 

 

 


苦しんでいる人に共感して胸を痛めながら
1人1人に寄り添って行動で助けることも尊いことですが

 


私はそれは

 

行動力があって、人と長い時間過ごしても疲れない人で
良い意味で鈍感力があって
憑依するレベルで共感してしまわない人の使命だと私は思うんです。

 

 

 

先ほど言ったように

 

ギフテッドが使命を果たすためには
色んな情報を遮断して沢山のことを知らないでいる必要があると思います。

 

 

 

知らないでいることで

 

共感しすぎて気力を使い果たしてしまわない
世間一般に合わせようとして縮こまってしまわない
目の前の小さな問題解決より根本的な問題解決に目が向けられる

 

 

そうやって
ギフテッドは心の健康を保ちながら
自分のを使命を果たすことが

 

ギフテッド本人にとっても世の中にとっても
良いことではないかと私は思うんです。

 

 

 

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