愛着障害の人が回復するまでの過程には、苦しいことが沢山ありますよね。
その中でも一番苦しいのは
「親と同じ事をしてしまう自分を認め、それを変えていくこと」ではないでしょうか。
私のカウンセリングは親を一方的に加害者にしたままカウンセリングを終えないんです。
一時的に完全に被害者になり大きな怒りを親に持つとしても、最終的には誰も悪くないというところに着地することがほとんどです。
その理由は、私たち被害者は完全回復に向かおうとするなら必ず、加害者を経験するからなんです。
これは複雑で説明するのがとても難しいのですが頑張ってお話ししてみますね。
まず機能不全の親がしてきたことは、疑いようも無く子どもに対して酷いことです。
完全に親は加害者であり、子どもは被害者になります。
子どもは傷つけられながら大人になっていきます。
子どもの頃は親は絶対的な存在で正しいと思い込んでいるので、頭のどこかで「間違っている」と感じていても完全に抗うことは難しい。
ですから自然と親と同じようなコミュニケーションを身につけてしまいます。
あの嫌だった傷つけられた接され方です・・・
例えば
人のことに何でも口出しをしてしまう
心配をしてネガティブなことばかり言って不安を煽る
批判的なことばかり言って褒めない
気分が悪い時に言葉に出来ずに不機嫌で表す
言いたいことがある時に察してもらおうと態度で出すか遠回しに嫌みを言う
こういう本当に嫌だった関わり…望ましくない対人関係の作法を無意識でやってしまっているんですね。
成長するにつれて、周囲の反応によって望ましくない対人関係の作法がわかってきます。
そうすると皆さん自分で必死に考えて自分を律して、正しい人間関係、人柄の良い人の接し方を学んで頭で考えて体現できるようになります。
すごい努力ですよね。
こうして親と違い1人で必死に抗って自分を変えて「自分は人を傷つけない言動がとれる」…はずなんですが…
何故かまだ苦しいんですよね。ちっとも楽じゃない。親と違ってちゃんと出来ているのに。
本当は心が子どものままなのに
本当はもっとワガママを言いたいやりたいことをやりたいのに
無理をして頭で理解して押さえつけてやってきてるからなんです。
心が育つためには
子ども時代にワガママやりたい放題をやってダメなことや失敗を沢山する時期が必ず必要です。
思春期に感情を爆発させて自己中心的になって、万能感をもって人としてカッコ悪いことをする時期が必ず必要です。
そして最終的に自分なりに正しいこと上手くやることを学んで、自然と人格を備えた大人になっていくんですね。
愛着障害の回復が難しいのは 自分を解放して自分を取り戻して子どものように失敗を繰り返すこと。
子どものように自分を解放してか。自分も人も思いやれるような対人関係の作法の実践、自分も満足させられるような人生の選択をしていくこと。
完全に押さえつけて上手にやるのは出来たのに、自分を解放してこれをやるのはすごく難しいんですよね。
私も上手に出来ていたはずなのに、回復に向かうために自分を解放した途端めちゃくちゃになりました。
感情的に声を荒げてしまったり
人をコントロールしようとしたり
自己中心的になったり
人の批判しか出来なくなったり・・・
あれほど嫌っていた人たちと同じ事をしてしまう、自分が加害者になっていることに気づき、どうしようもなく自分を汚い怖い存在だと心から嫌っていました。
でも今は仕方なかったと思えます。
どうしていいか誰にも教わらず手本も無く、勝手に刷り込まれた悪い対人関係の方法を消すのは至難の業です。
一回一回失敗して落ち込みながら自分を嫌いながら、時間をかけて治して行きました。
愛着障害がブームになって、毒親というワードが使われるようになって
親を加害者として酷く責め立てたまま、一時的ではなくずっと親が加害者で自分は被害者といった立場のまま、愛着障害を治療しようとするカウンセラーやセラピストが多いことに私はずっととても不安でした。
それによって、毒親の洗脳から抜け出して力を得て人生を変えていこうと思える所までは
素晴らしいと思うんです。
でもそこからは・・・?
今の自分の人との接し方も親から刷り込まれてしまった方法であること、いくら頭でわかっていてもやってしまうことがある
ここがわかっていないと
親を一生恨み続ける苦しさを抱え、いつまでも自分の間違えを認められず修正できず、人と上手く接することができない
これでは愛着障害から回復しても楽になりきれないと思うんです。
親が加害者で自分が被害者
これも紛れもない真実です。
ですが親から離れ自分の人生を自分で歩み出すことができたら
次は「自分も加害者で親もまた被害者だった」と認めなければなりません。
本当に苦しいことですが、この真実を受け入れて行かなければ本当の意味で愛着障害の人に心の平穏は訪れないと私は思うんです。
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