逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

依存症の人の人物像

依存症の人が外から持たれる印象は

 

 

自制心がない
だらしない
人の気持ちを考えない
無責任・・・

 


残念ながら
こんなふうに見られてしまいますよね。

 

 


でも私は

依存症の人には正反対の印象を持っているんです。

 

 

 

依存症の人にじっくりと長い期間話を聞いてくると
本来の姿が見えてきます。

 

 


毎日、毎時間、毎分
自分を押さえつけようと必死

 


自分なりに自分の言動を見張って
あれはダメこれはダメと自分を責めながらどうしようと考えている

 


人に迷惑をかけたくないのにかけてしまう自分に情けなくて
人が自分のせいで困っているのがつらくて
罪悪感がいっぱいで申し訳なくてたまらない気持ちを持っている

 


自分の周りで起きる問題は自分が全部いけない
自分がダメだから人が怒ったり泣いたりするのは全部自分のせいだと
全ての責任を負おうとしている

 


普通の人より真面目で一生懸命にやっていて
真っ直ぐで純粋だからこそ要領が悪くて上手くいかない・・・

 

 

私がお会いする人は皆さんこんな人たちでした。

 

 


本当は愛されるべき人たちなのに

 

依存症を発症したせいで
残念ながら人に迷惑をかけたり振り回したりしてしまい

 

人から疎まれる存在になってしまっている。

 

 

 

これがとても残念でならないんです。

 

 

これだけ一生懸命生きているのに
苦しんでいるのに責任を負っているのに

 

全く報われないどころか
悪役や情けない役を引き受ける人生

 

 

依存症を内側から眺める私にはこう映ります。

 

 


でも外側から見た姿も現実なんですよね。

 

 

どんなに内側が素晴らしくても

 

人に迷惑をかけて振り回して
自制心のない、だらしない、無責任で自己中心的な言動をとっていれば

 

残念ながらそう思われてしまっても仕方がありませんね。

 

 

 

ですが


依存症からの回復の為に必要なのは
自分を責めて罰して苦しむ事じゃ無いんです。

 

 

 

今自分は

 

自制心のない、だらしない、無責任で自己中心的な言動を
依存症という心の病のせいで今はとってしまっているけど

 

 

自分を律しようと頑張っている

 

自分を治したいと考えている

 

人に迷惑をかけたくない、人を苦しめたくないと思っている

 

自分のせいだと分かって苦しんでいる

 

 

だから

 

「自分なりに頑張っているけど
 今は力が無いせいで上手くできていないだけ」

 


これを自分でしっかりと理解して
依存症によって地の底まで落ちてしまった自尊心を回復させることなんです。

 

 

 


また


依存症の人は依存対象を強く求める姿から
欲求が強いイメージがあると思います。

 


でも私は
普通の人とそれほど変わらないと思っています。

 

 

何故これほどまでに依存対象を求めるのかというと

 

普通の人が普通に満たしていることを満たせていないから
その空虚を埋めようとしているからなんです。

 

 

普通の人が依存しないでも済んでいるのは
満たされているからです。

 

 


例えば

 

何をやっても強い愛情を持って見守ってくれる親

 

大好きで嬉しくて楽しいこと

 

時間を経つのも忘れて夢中になれること

 

何となく一緒にいて癒やされる人

 

自分のままでいいと思える安心感

 

自信を持てるスキル

 

自信を持てる人格

 

自信を持てるコミュニケーション能力・・・

 

 

挙げたらきりがありませんが
こんなものが沢山あって満たされています。

 


生まれてから自然と身につけて手に入れてきているので
本人は満たされている感覚はないんですけどね。

 

 

 


一方で依存症の人は?

 

今挙げたようなものが無いんです。

 

 

いつでも何をしても離れていかない
安心できる人がいない

 

ハイになれることはあっても
嬉しくて楽しいことはない

 

ハイになって時間が過ぎることはあっても
時間を忘れて集中して何かに取り組むことはない

 

自己愛は高くても
全て自己開示して見せても大丈夫という自信は全然無い。

 

 


いつも不安で緊張感が高くて
落ち着いて何かに取り組むことも
心から楽しめることもなく
自分を隠そう、自分を取り繕おうとばかりで自分を解放できない。

 


それは
依存対象が必要になるのも仕方がないですよね。

 

 


これは私の中で確信に変わっているのですが

依存症の人の多くは愛着障害が根本にあります。

 

 


満たされている、満たされていないの話をしましたが

 


普通の家庭で安心安全に十分に愛されてきたか
機能不全の家庭で危険を感じながら人への愛着を学ばずにきたか

 

こんなことなんですね。

 

 


ですから
依存症の人は

 

依存対象からどう離れていくかの対策よりも先に必要なのは
愛着障害の治療なんです。

 

 

愛着障害のせいで空虚があり
それを満たすために依存してしまう。

 

愛着障害になったのは完全にその人のせいではない。

 

 

だから依存症もその人のせいではない・・・

 

私はこう考えながら
愛着障害の人を治し、自然と依存症から回復をさせていっています。

 

 

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