逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

愛着障害の人は心から求めるものを選べない

機能不全の家庭で育った愛着障害の人は
小さい頃からいつも安心がありませんでした。

 


誰もが子どもの頃に経験する

家庭での安心感を経験できないまま大人になってしまいました。

 

 

子どもが育つために必要な安心感は

 

機能している家庭で育った子どもは
安心感と意識することすら無く当たり前のように家庭にあるものです。

 

 

 

例えば

 


いつも見ていてくれる存在がいる

 

どんな自分でも愛してくれる存在がいる

 

毎日変わらない精神的に安定した両親、家庭内の空気

 

毎日変わらない順調で安定した生活・・・

 

 

だから家庭の外でどんなに不安なことがあっても

家庭に戻ればまた安心を取り戻せる。

 

 

 

機能不全の家庭で育った私たちからすると
とても信じられないですよね。

 

 

 

 

機能不全の家庭では

 

 

自分は何のために生まれたのかと思わされるほど
無視され放棄され

 


親の思い通りでなければ自分の存在を全否定され

 


毎日家庭内でどんな争いが起きるか
不安定な両親がどんな感情をあらわにするかぶつけてくるかわからない

 


毎日不安ばかりの生活で

家庭の困り事を全て知らされ心配させられ

 


家庭の外でどんなに大変なことがあっても
それを1人で抱えて家庭に戻るとさらに大変なことが起きる・・・

 

 


もうずっと不安なんですね。

 

 

私たちの心から不安が無くなることなんて

全くありませんでしたよね。

 

 

そうなんです。


愛着障害の人は

こうやって不安しかない子ども時代を過ごしてきたせいで

 

いつも安心を求めてしまうんです。

 

 


当たり前ですよね。

 

食べなければ飢えて死んでしまうくらいに

子どもは安心が無ければ生きていけません。

 

 

 

機能不全の家庭で育った子どもは

それぞれが自分独自の方法で安心感を求め、生み出します。

 

 

 

人間関係を作る時、安心を最優先に求めます。

 

 

一般的に人間関係を作る時には


・自分が好感を持てる、魅力を感じる人

・気が合う人

・信頼できる人

・尊敬できる人

 

 

自然とこんな基準で
人と仲良くなりたいと思いますよね。

 


でも人間関係で安心を最優先にすると
これが大きく変わってきます。

 

 

・自分から離れていかない人

・変化しない人

・深入りしてこない人

・鈍感な人

・指摘してこない人

・決めてくれる人

・強引な人

 

 

人によって安心できるタイプは様々ですが

自然とこんな人を求め
好感を抱いているような気持ちになります。

 

 


どうでしょうか。

 

愛着障害の人は
自分の周りに居る人は自然とこうなっているのではないでしょうか。

 

 

 


私もそうでした。

 


頭で考えて選んでいるわけではないのに
自然とこういう人を求めてしまっていたんです。


安心が一番欲しかったんですね。

 

 

 

例えば


小さい頃は

私は自分より立場の弱い友人を選ぶことがありました。

 

おとなしい
嫌われている
魅力が無い


こんな友人は

 

私を褒めてくれて大事にしてくれます。
私しかいないので離れていきません。

 

 


酷いことですね。

 

でも意識をしていたわけではないんです。

 

安心が欲しくて

自然とそういう子に近づいて仲良くしたんだと思います。

 

 


思春期には

 

自分に好意を抱いてくれてさえいれば
自分も好きだと思い込んでいました。

 

恋愛でも友情でも自分に対する強い好意があれば安心でした。

 

 

私の容姿に好意を抱く人

私の面白さに好意を抱く人

私の変わったところに好意を抱く人

私の気の強さに好意を抱く人・・・

 

 

何でも良かったし誰でも良かったんです。

 

本当の私のことなんて見ていなくても
私のことを理解していなくても
相手がどんな人でも


望みを叶えて好意を抱いてさえくれれば

私を褒めてくれて大事にしてくれます。


私から離れていきません。

 

 

 

酷いですね。

 

でもこれも意識してやっていたわけではなくて


なによりも

自分から離れていかない安心が欲しかったんだと思います。

 

 

 

他にも

 

自分の存在を意識せずに

自分勝手に喋って楽しんでいる人といると

侵害されない求められないから安心

 

 

自分勝手で強引だけど

何でも決めてくれて引っ張ってくれて

責任がない、楽だから安心

 

 

こんな人もいますよね。

 

 


よく心の中で人を見下していたのを思い出します。

 


そんな自分を
性格が悪いとずっと悩んでいました。

 


でもこんなふうに人間関係を作っていたら当然なんですよね。

 

 魅力を感じたり憧れたり尊敬をしたりといった感情はない人と

自分を大事にしてくれる人ではない人と

人間関係を作っているんですから。

 


自分が好きだと思う人
魅力を感じる人
尊敬できる人
気が合う人


こんな人と居られたら見下すこともありません。

 

 

 


愛着障害の人は
いつでも安心を最優先にするから
本当に好きなものを選べないんですね。

 

 

自分の心に従って人を選ぼうとすれば

 


自分は好きでも相手はそうでもないことがある
相手は大事にしてくれないかもしれない
相手は離れていくかもしれない

 


不安でいっぱいです。

 

 

自分が魅力を感じる人は他の人にもそうです。
自分と一緒にいてもらう、ずっとそばにいてもらうなんて大変です。

 


自分が尊敬できる人
これも自分もそれだけ何か秀でていなければいけません。

 

自分も努力して魅力をつけて自分を磨いていかなければいけません。

 

 

とても大変でのんびりと安心していられません。

 

 

 

でも自分の心に正直にいるためには
こうやって不安でも好きなものを選んでいく必要があるんですね。

 

 

 

人だけではなく
愛着障害の人が選ぶ、物や環境などもこんな仕組みになっていて

 

いつも安心を最優先にして選んできて
自分が心から好きなものを選べないことが

愛着障害の人の生きづらさに繋がっているんです。

 

 

 

カウンセリングが進んで不安が解消されても

中々ここが解消されない人は多いです。

 

 

私もそうだったと思います。

 


つい安心を最優先にしてしまう癖は
なかなか根深いです。

 


もう安心していいのに
怖いという気持ちが中々消えませんでした。

 

 

 


私たちはいつも安心を最優先にして生きてくるしかありませんでしたよね。

 


だから
自分が心から本当に求めるものを選ぶことができなかったんです。

 


そのせいで
人を見下したり、心の中は裏腹で

いつも何に対しても不満ばかりで嫌な気持ちばかりでした。

 

 

不満ばかりもつ嫌な人間

いつも嫌な気持ちをもつ暗い人間というわけではないんです。

 

 

 

心から本当に求めるものを選んでこれなかった

 

残念ですがこれはもう認めないといけませんね。

 

 


そしてこれから

 

カウンセリングなどで人間不信を解消して心の問題を解決して

不安を小さくしていきましょう。

 

安心できる環境に逃げ込みましょう。

 

 


そして

小さい頃に比べて少しずつ安心できるようになってきたら

 


全てを選択するときに
安心を最優先にせず

 

「自分が心から求めているもの」を勇気を持って選択していきましょうね。

 

 

 

 

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