逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

高機能型の境界性人格障害の原因⑨ーこだわりが強いー

境界性人格障害の人は
自分だけのこだわりがとても強いことに気づきます。

 


私も元々こだわりの強い性質はありましたが

 

境界性人格障害を発症してから寛解するまでは
そのこだわりの部分が激しくなっていたように思います。

 

 

 

頑固で譲らない

 

柔軟に考えられない

 

変更が受け入れられない

 

気に入った同じもの以外は受け入れない

 

自分の思い通りのこと以外は受け入れない・・・

 

 

 

こういったこだわりが激しくなり

 

それがまた自分の首を締めることになっていました。

 

 

 


高機能型の境界性人格障害の人は

 

ADHDの傾向だけで無く
ASDの傾向もある人は多いのではないでしょうか。

 

 

 

よく話を聞いて観察していると

 

敏感、繊細、こわがり、内向的(外向的に見えても内側でさかんに考えている)

 

このような特徴が見えてきます。

 

 

 

境界性人格障害の人は

 

鈍感で大胆で行動的・・・そんな姿の方が目立ちますが

 

実はそこに至るまでの過程があるんです。

 

 

 

敏感すぎるゆえに
日々大きなストレスに晒され、自分を守るため鈍感になった

 


繊細すぎるゆえに
日々を平穏に過ごすことが難しく、自分を守るため大胆になった

 


内向的すぎるゆえに
日々の出来事をこなしていくことが難しく
追いつめられ窮鼠猫を噛むように外向的に振る舞うようになった・・・

 

 

 

こんな変遷があったりします。

 

 

 


ぱっと見はASD傾向があるようには見えないんですが

 

元々は敏感で繊細でこわがりで内向的な人が多いんです。

 

 

 

そのASDの傾向の中でも

 

特に境界性人格障害の症状を酷くするのが

 

「こだわりが強い」ことだと思います。

 

 

 

高機能型の境界性人格障害の人は

 

普段から境界性人格障害の症状が表に出ているわけではありません。

 


落ち着いている時は全く普通の人と変わらず
とても人格障害なんて信じられません。

 

 

 

それが

 

「自分のこだわりが通らない」瞬間に

 

境界性人格障害のスイッチがオンになります。

 

 

 

境界性人格障害の方は
どんな場面でスイッチがオンになったでしょうか。

 

 

 

私がスイッチがオンになったのは次の場面です。

 


・予定が変更になる

 


天候やトラブル、人のキャンセルで
当初の予定が変更になる、予定が無くなる

 

ちょっと準備が遅れたりトラブルで
当初の予定の時間から遅れる

 


こんなことは日常でよくあることですよね。

 

 

 

それなのに私は
これだけで絶望してしまうんです。

 


絶望して気持ちの糸が切れ
どう頑張ってもその変更された予定を楽しむ気にはなれません。

 

とてつもない怒りが湧いてきて不機嫌のピークになり
人に心配させ機嫌をとらせます。

 

すべて放り投げだしたい気持ちは抑えられず
全部を拒否して1日中不機嫌で
人も絶望させ、1日を無駄にさせる。

 

 

 

なぜスイッチが入るのか
普通の人には理解はできませんよね。

 

単なる情緒不安定で頭のおかしいワガママな人、としか見られません。

 


でも事情があるんです。

 

 

 

境界性人格障害の人は無意識に先のことを考えます。

 

詳細にシュミレーションをしています。

 


普通の人が
予定が決まったらその日まで何も考えずに当日を迎えるところを

 

境界性人格障害の人は
とても楽しみにしていたり不安になったりしながら
当日どう過ごしていくかどんなふうなことが起こるかを想像し続けます。

 


最高に楽しむためトラブルが起きないために
準備できることを全力でしたり

 

ここでこうやって楽しもう、ここでこうして相手はこうするだろう。
コミュニケーションまで準備を全力でしたりします。

 


その予定の日が来るまで
全力で考え続け準備をし続け、まるでもう1日を過ごしたぐらいの想像が済んでいます。

 

 

 

ここまで時間をかけて完成されたものが
変更になった時の気持ちがわかるでしょうか。

 


例えるなら

 

舞台の主演が決まって
長い時間をかけて練習を重ね、本番の日まで毎日緊張とプレッシャーと戦い

 

さぁいよいよ当日を迎えたら
共演者の不祥事で舞台が無くなった・・・こんな気持ちでしょうか。

 


その後すぐに気分転換に何かをしようなんて思えないし

 

情熱を傾けてきてそれが無駄になったからこそ
共演者へのとてつもない怒りがあると思います。

 

 

 

機嫌をとってほしくて不機嫌になっているわけでも
人に嫌がらせをしたいわけでもないんです。

 


これだけの絶望感をわかってほしい

 

気持ちの糸が切れてしまって自分ではどうしようも出来ないのを助けて欲しい

 


私はこんな気持ちがあったように思います。

 

 

 

 

 

他にも

 


・自分が想像していたのと違う

 


美味しいと評判の店が美味しくなかった

 

憧れていた権威のある人、有名な人が
実際に関わったらそうでもないように見えた

 

自分が頭の中でできると思っていたことが
全然うまくできなかった・・・

 

 

 

こんなこともよくあることです。

 

 

 

それなのに私は
とても耐えらない気持ちになりとてつもない怒りに囚われてしまうんです。

 

 

 

先ほどと同じように
美味しいと評判の店にまたどんどん想像を膨らませていきます。

 

きっと驚くほど美味しいんだろう
どれだけ感動させてくれるだろうか

 


憧れていた権威のある人であれば

 

きっと素晴らしい人格を兼ね備えていて非の打ち所が無い人だろう
どれだけ私を惚れ込ませてくれるだろうか

 


頭で考えていたことは完璧にできる

 

きっと自分ならすごいことができるだろう

 

 

 

とにかく「理想」をとことん追求します。

 


人間の限界だとか現在どこまでのレベルのものが存在するかだとか
そういった現実は無視した

 

頭の中の理想は留まることを知りません。

 


「理想」はとことん美しく最高に作り上げられていきます。

 


現実ばなれした理想の末路は幻滅しかありません。

 

 

 

最高の「理想」を打ち砕かれ絶望に転がり落ちる。

 


ただ自分の想像と違っただけなのに
そんな軽いものではなくなってしまうんですね。

 

 

 

そして

 

「理想」を打ち砕いた対象に激しく怒りをぶつけます。

 


美味しいという評判だったのにこの様

 

憧れていたし素晴らしいという評判だった人なのに騙された

 

完璧にできるはずだったのに出来なかった自分が情けない・・・

 

 

 


頭の中の完璧に現実が追いつくのは難しい

 

頭で考えていることを実現することは難しい

 

このことがわかっていないんですね。

 

 

 

こんなふうに

 

とにかく頭で想像し続けて
その想像がいつも現実より先にいってしまう。

 


そのせいでこだわりが強くなり絶望が強くなり
傷つき感情の暴走が止まらなくなるののが

 

高機能型の境界性人格障害の人の問題の一つだと思います。

 

 

 


私がこれを治すためにやってきたのは

 

 

 

自分の想像は「理想」なのであってそのものをそのまま見ていないと知る

 

現実はどこまで理想に追いついているのか知る

 

理想を実行するのがどれほど難しいか自分でやってみる

 

 

 

そうして

 

想像をどんどん膨らませていくのではなく

 

現実を自分の想像に近づけていくことでこだわりは少しずつ減らしていく

 

 

 

このようなことです。

 

 

 

高機能型の境界性人格障害の人の頭の中の「理想」は

 

うまくいかすことが出来れば素晴らしい才能になると思います。

 

 

 

でも頭の中だけで膨らまし続け
自分でそれを実現しようとしない限りは

 

ただただこだわりに苦しみつづけることになるんだと私は思います。

 

 

 

 

 

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