逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

愛着障害のカウンセリングの経過⑦ー誇れる自分になるためのカウンセリングー

思春期の時期を抜けると
クライエントさんは本当に楽になります。

 


まるでこれまでの自分が嘘のように心が軽く
周囲の人の反応も変わり、世の中の見え方も変わり

 

最初から自分はこうだったような、性格が良かったような
愛着障害なんて持っていなかったような気がして

 

苦しかったことをすっかり忘れ
過去のことも薄れていきます。

 


出産で本当に苦しかったのに
過ぎると痛みを忘れてしまうと言いますよね。

 

そのような感じで

 

これまでの長い人生ずっと苦しんできた人ですら
一時的にすっかり痛みを忘れてしまうんです。

 


これで育て直しは終わりました。

 


普通の家庭で育ってきた子どもと同じように
高校、大学を卒業するところまで心を育てることができました。

 

 

 

ですが
愛着障害の人は、ここからが難しいところです。

 

 

 

もし「楽に生きたい」が主訴だった場合
ここでカウンセリングは終了でいいと思います。

 

 

 

でも多くの人は
楽に生きたいだけでなく

 


心から自分を好きになりたい

 

心から人を好きなりたい

 

自分を知りたい

 

自分の能力を発揮したい・・・

 


さらに
こんな願いも持っています。

 


そうなると
またここからのカウンセリングが重要で

 

とてつもない苦しみが待っています。

 

 

 

これまでの苦しみは

 

自分の大きな変化や
自分のコントロールの利かない大きな感情
自分を表現する怖さや難しさに対するイライラなどでした。

 


ここまで本当に
2人で苦しい時間を乗り越えてきました。

 

 

 

ここからは違う苦しさが待っています。

 

 

 

「自分の非を認める」苦しさです。

 


クライエントさんは
カウンセリングを受けるまで、ずっと自分を責めて生きてきました。

 

そのせいで
人の罪が見えず、正当な怒りも持てずにきました。

 

 

 

カウンセリングで

 

自分の良くない行動には理由があった
自分はひどいことを人にされてきた・・・などに気づき

 

自分が被害にあっていたんだということを理解します。

 

 

 

これまでの自分は全て悪くない
これまでされてきたことは全て相手が悪い、と

 

すっかりと心が軽くなりました。

 


でもこのまま終わりでいいでしょうか。

 

心から自分のことが好きになれるでしょうか。

 

 

 

みなさん
これまでの人生が本当につらかったのだから
こんなふうに楽に生きていくのも1つの選択です。

 


でも
真実を知りたい、公平でありたいという気持ちがある人や
ギフテッドの人は

 

きっとここまででは楽になりきれないはずです。

 

 

 

私たち愛着障害の者は

 

本当に沢山の理由があって
色んな良くない言動をとってきてしまいました。

 


悔しいですが

 

それはもう自分ではどうしようもないことでした。
仕方が無かったんです。

 


自分ではどうしようもないことだったけれど
それをされた相手はどんなふうに感じていたんでしょうか。

 


どうしようもないことだったんだから
何も悪くない相手にしてしまったことでも

 

「自分は悪くない」
「相手に責められても知らないし相手が事情を理解してほしい」

 


これでいいでしょうか。

 

そんな自分を好きになれるでしょうか。

 


これでは
皆さんの親と変わらないことになってしまうような気がしませんか。

 

 

 


私たち愛着障害の者は

 

本当に沢山の理由があって
出来ないことも間違うことも、沢山ありました。

 


その時の自分は全力以上で頑張っていて
それ以上どうしようも出来なかったんです。

 

でも
今ならわかる間違いがあるのではないでしょうか。
今なら改善できる点はあるのではないでしょうか。

 


どうしようもないことだったんだから
間違えて迷惑をかけたとしても

 

「迷惑がる方が人でなし」
「理解してくれるべき」

 


これでいいでしょうか。

 

そんな自分を好きになれるでしょうか。

 

 

 

私も沢山ひどいことをしてきました。
沢山間違えて迷惑をかけてきました。

 

それでも
理由があったんだから仕方が無いんだと
心から自分の味方でいます。

 


でも一方で

 

相手の気持ちを思うと
「自分はなんてことをしてきたんだ」という申し訳ない思いが浮かびます。

 

その場の自分の間違いを思い返すと
「自分はなんて迷惑をかけてきたんだ」という恥ずかしい思いがしてきます。

 

 

 

どんなに理由があったとしても

 

自分が間違った行動をとったとしたら

 

その行動の間違いだけは認めなければ
被害を受けた相手の気持ちを考えなければ

 


きっと私たちは
自分のことを誇れるようにはならないし
胸をはってスッキリとした気持ちで生きていけないと思うんです。

 

 

 

「これだけ酷い目にあってきたのに自分は人にやってはいけないのか」

 

という言葉を聞くことがあります。

 


本当にそうですね。

 


自分だけが酷いことをされて
その鬱憤を晴らすことができないなんて嫌だ

 

酷い目に遭ってきたせいで必ずしてしまう行動なら
その責任なんて負わなくていい

 

そう思う気持ちもわかります。

 

 

 

でもそこで

 

どんな自分になりたいのか考えて欲しいんです。

 


自分は被害者だから仕方ないという考えのままで
人の気持ちを考えないまま連鎖をさせていくのは
あなたがしたいことでしょうか。

 

 

 

自分はやられてきたのに、それを止めること。
自分は誰にも気持ちを考えてもらえなかったのに、人の気持ちを考えること。

 

本当にとても苦しいことです。

 


でも私は
みなさんはそんな強さを持っていると思っています。

 

 

 

この時期のカウンセリングは多くの人が逃げたくなる時期で
実際にやめてしまう人も多いです。

 

 

 

育て直しが終わって

 

せっかく楽になって上手くいくことも楽しいことも増えてきて
気分が良くなったのに
なんでわざわざ嫌なことをやらなければならないのか・・・

 

 

 

今までのカウンセリングはつらくはあったけど

 

人を責めることが出来て
自分を褒めることが出来て
どんどん自分が変わっていく実感が持てた。

 

このカウンセリングは

 

自分の間違いを探して
恥ずかしくなって情けなくなって苦しいだけで
自分が前に進んでいる感じがしない・・・

 

 


これは当然の気持ちですよね。

 


でも自分がどうなりたいかを今一度考えてほしいんです。

 


考えてみて
「今は楽しく生きたい」という人はやめていいと思います。

 

 

 

楽しく生きたいけれど
自分を誇れる、堂々と胸を張れる自分になりたい
自分を好きになりたい
自分の能力をすべて発揮したい

 

こんな気持ちを強く持つ人には
この先のつらいカウンセリングも一緒に頑張ってもらいます。

 

 

 

一度カウンセリングをお休みしてもらうことも多いです。

 

怒濤の勢いで変化を続けてきたので
少し休みたい、楽をしたいと思うことも当然です。

 


半年、1年と少し楽しいだけの生活をして
その後、カウンセリングを再開して次のステップに進みます。

 


ところが
一度休むと、楽をしたい気持ちから
自分を向上させたいという気持ちに切り替えるのが難しくなるんです。

 


長期休み明けのお仕事は
だらけすぎてしまって調子を取り戻すまでつらいですよね。

 

私は休まずに続ける方がいいと思っています。

 

 

 

つらいけれど得るものは本当に大きいです。

 


今までとは比較にならないほどの

 

心の軽さがやってきます。

 

現状とは関係なく
自分を誇れる気持ちを持てるようになります。

 

ぶれない強い自信が持てるようになります。

 

 

ここまできてやっと

 

自分を自由にすることができ
自分をごまかすより自分を善くしていくことに集中できるようになり
失敗を恐れるより挑戦をしないことの方を恐れるようになります。

 


自分を開放して
自分を前に進める事、自分を善くしていく事に集中して
勇気を持って自分の力で人生を変えていきたいと思える。

 

こんな自分になって
自分の能力を十分に発揮できるようになっていくんです。

 

 

 

 

 

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