逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

愛着障害のカウンセリングの経過⑤ー思春期がおとずれるー


カウンセリングによって子どもに返ると

 

心の中はまるで小学生のような感じになります。

 


子どもらしい小学生を想像してみてください。

 

 

 

目の前のわくわくすることだけに夢中になって
周りなんて見えない

 


自分の気持ちが一番大事で人のことは二の次

 


衝動的に言いたいことを言ったり
やりたいことをやって失敗を沢山する

 


瞬間瞬間で思いきり泣いたり笑ったりして
コロコロと気分の移り変わりが激しい

 


物や人、出来事に対しての気持ちも移り変わりやすく
最高、最低と評価がコロコロ変わる

 


好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、嫌なものは嫌
我慢はしたくない

 


自分の見えている世界が全てだと思って
絶対にこうと決めつけて頑固になる

 

 

 

みんな似たり寄ったりで
こんな感じじゃないでしょうか。

 

 

 

大人になって
気づかずにこれを外でやってしまうと
人間性を疑われてしまいますね。

 

 

 

カウンセリングでしっかりと子どもに返り

 

こんなふうに
子どもに返った自分を自覚して認めて

 


「今は子どもだからこんな短絡的なんだ」

 

「子どもだから衝動的なんだ」

 

「子どもだからコロコロ変わるんだ」

 

「子どもだから自分勝手なんだ」

 


こうやって
子どもの自分を許しながら成長を待ちます。

 


まるで
子育てをするように
自分を見守りながら葛藤しながら

 

自分を自然に育てていきます。

 


言葉にすると簡単そうですが
実際はとても難しい。

 

 

 

<愛着障害の人は自分で自分を育てなければならない>

 

で書いたように

 

心の中には全否定をしてくる親が鎮座しています。

 

 

 

「何でこんな事もできないの?」

 

「ちゃんと考えろ」

 

「それは間違ってる」

 

「それはバカなこと」

 


大人の自分が子どもの自分を
猛烈に叱りつけたい気持ちが湧いてきます。

 


ここで私が
子どものクライエントさんの味方になり
心の中に鎮座する親、大人のクライエントさんと戦い、守ります。

 


「子どもなんだからできない」

 

「子どもはそういうものだ」

 

「自分勝手なのは当然の時期」

 

「失敗をしなきゃ分からない。挑戦したことがすごい」

 


自分を責める言葉しか出てこないクライエントさんの言葉を
否定するような形になってしまいますが

 

守るべきは弱い子どもの心の方ですから
子どもの心の方の味方で居続けます。

 

 

 

見ていられない
正しいことしか認めたくない
コントロールしたい

 

こんな気持ちと戦うのは本当に苦しいことです。

 


ここで戦えなかったのが
愛着障害の人の親なんですね。

 

1人では難しい戦いなので仕方なかったのかもしれません。

 

 

 

自分がされてきたこと、自分はしたくないですね。

 


自分は親みたいになりたくない
自分は愛着障害の連鎖を止める

 

こんな強い気持ちを持っていますよね。

 

 

 

とても苦しく長い時間ですが
私がついて支えながら

 

子どもの心を守りながら成長を待ちます。

 

 

 

こうやって苦しみながら
子どもの自分を許していくと
自然と成長をしていきます。

 

 

 

ここからが一番大変な時期だと思います。

 


人によって違いますが
だいたいカウンセリングを開始して1年になる頃でしょうか。

 

思春期がやってきます。

 


思春期の感情の激しさは
誰もが境界性人格障害のような状態になると言われるほどです。

 

 

 

思春期は

 


感性がするどくなる

 

何を見ても繊細で強烈な感情が湧き起こる

 

その繊細で強烈な感情は大きな悦びもあれど苦しい

 

誰かに分かって欲しいのに
あまりに繊細で強烈な感情を表現する術を持っていない・・・

 


全く外に出せないのに
内側のものが膨れあがるのはとてつもない苦しみです。

 

 

 

思春期には
自立したいという気持ちが芽生えます。

 


人に頼りたくない
自分でやってみたい
何も聞きたくない・・・

 


それなのに
まだ大人になる途中で力は十分ではありません。

 


不安で誰かに助けて欲しい
自分1人じゃできない
どうしたらいいのか教えて欲しい・・・

 


気概だけは大きくなっていくのに
現実の自分は上手く出来ない

 

自分を嫌悪し悔しくて仕方がなく、自己矛盾に激しく苦しみます。

 

 

 

この苦しさが限界に達すると
矛先のわからない怒りが大きくなります。

 

「誰もわかってくれない」
「こんなに苦しいのは自分だけ」

 


世の中の人全てが敵で憎らしく
世の中が真っ暗で恐ろしく絶望的な気分になります。

 

 

 

これまでのカウンセリングの過程でも
とてつもなく大変な時期を2人で乗り越えてきました。

 

ところが
思春期の時期はもっと大変です。

 


小学生の時期も
自由で無邪気な自分のコントロールが利かないせいで
不安で大変な苦労がありました。

 

<愛着障害のカウンセリングの経過③ー子どもに返るー>

 


この思春期の時期のコントロールの利かない感覚は
もっと大きいんです。

 


爆発してしまいそうなほど大きすぎる感情
怒りの感情のコントロールが利かない

 


自分が自分でないような気がするほど、強い感情に怖くなる。
自分がどうなってしまうのか、不安でしかたがない

 


大きすぎる感情のせいで頭が全く回らなくなり
冷静に考えられない、日常も上手くいかない。
そんな自分に腹が立ち、自分を嫌悪し、また怒りが大きくなる

 


それなのに
自立したい時期、人に対して怒りを持っている時期で
人を拒否しているため誰にも上手く頼れない

 


どうにもできなくて
追いつめられた気持ちになります。

 

 

 

この時期は
この大きな感情を上手く外に出す以外はありません。

 


その方法の1つは
本当の感情を見つけていくこと。

 


怒りではなく

 

本当は悲しかった
本当は傷ついていた
本当は寂しかった
本当は恥ずかしかった・・・

 


自分の本当の感情を抑えてきた
すべて怒りに変えてきた人にとって
これは本当に苦しいことで

 

ほとんどの人が逃げてしまったり
とても時間がかかってしまうことが多いんです。

 

 

 

次の方法は
怒りとして私に感情を一旦出してしまって冷静になってから
自分の本当の気持ちを探すこと。

 


これも簡単ではありません。

 

怒りの感情を表に出してはいけない
いつも人と和を保たなければいけない

 

こんな強い信念を持っているクライエントさんは
必死に大きな感情を抑えつけようとし続けます。

 


こんな時
カウンセリングでぶつかることは避けられなくなります。

 


何もしなければ

 

ただこんなに死ぬほど苦しい時間を
クライエントさんは耐え続けてしまいます。

 


それにより鬱状態になることがあります。

 


耐え続けて限界に達して
外の人間関係で感情があふれ出てしまう危険が増してしまいます。

 

 

 

なんとかして
カウンセリングで感情を出してもらわなければいけません。

 


ここで私は自分をさらけだし、ぶつかって感情を揺さぶり
私に対して大きい怒りをぶつけてもらうようにします。

 


思春期に人に怒りをぶつけるという失敗をする経験
それでも受け止められるという経験が
愛着障害のクライエントさんには必要です。

 

 

 

これによって
「自分を抑えられないカウンセラーだ」と誤解され
カウンセリングが終わってしまうこともあります。

 

カウンセリングを続けることが最優先でここまできましたが
それよりも大事なのは
この経験をしてもらうことだと私は思っています。

 

 

 

カウンセリング以外で人に感情をぶつけてしまったら
評価が下がったり嫌われてしまったり怖がられてしまったりと
何か失いますよね。

 

カウンセリングでは

 

私はクライエントさんを嫌わないし怖がりません。
むしろ勇気を出して怒りを出してくれたと感謝します。

 


こうしてカウンセリングで怒りを出せるようになると
頭が元のように回るようになり

 

冷静に物事を見て思慮できるようになり

 

未熟な自分を認めて穏やかになり

 

人を頼れるようになっていきます。

 

 

 

思春期の大きすぎる感性、感情を
自分で頑張って言葉にして伝えること

 


頭の中だけで万能感を持っている思春期の大きすぎる自己愛を
実際に行動して失敗し支えられる経験によって
ちょうどいい自己愛にすること

 


思春期の不安や恐怖、恥を同じように経験してきた人の話を聞いて
大きすぎる自己嫌悪をちょうどよくすること

 


思春期にはこのような経験を積んでいく必要があります。

 


様々な感情が揺れ動き

大きな感情に振り回されるこの時期は

 

クライエントさんにとって本当につらい時期ですが

 

一緒に頑張って

実際の思春期でできなかった経験をカウンセリングで積んでいきます。

 

 

 

 

 

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