逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

愛着障害のカウンセリングの経過①ー自分の話をするまでが難しいー

開業してもうすぐ3年が経ちます。

 

 

症状や性格の違うクライエントのみなさんが
さまざまな過程をたどり、回復していきました。

 

回復までの期間も症状によってバラバラですが
だいたいは1年から2年半で卒業されていきます。

 


一方で
カウンセリングでは同じような現象が起こり
順番は変化しても同じ所を通過して回復されていくことに気づきました。

 


心の変化という抽象的な出来事を
どこまで正確に書いていけるかわかりませんが

 

私のカウンセリングで

どんなことが起きているのか
どんなふうな経過をたどって回復していくかを
イメージも使ってお伝えしてみたいと思います。

 

 

 

私のカウンセリングを申し込まれる方は

 

私のブログを読んでから申し込んでくださる方が多いので
今のところみなさん愛着障害が根底にあります。

 

 

 

愛着障害の人が抱えている苦悩は沢山あります。

 

<愛着障害>

 

ぜひ読んでみてください。

 

 

 

これらの苦悩を抱えることになったのには理由があります。

 


・小さい頃から親の親の役割をしていた(親と子の役割が逆転していた)

 

・親なりに愛情を与えたい気持ちはあったとしても注いではもらえなかった

 

・親に従わされ、自分の自由な気持ちを持てなかった

 

・親に否定され、自分の良さを無くして自信を無くしてしまった

 

・親独自の偏ったルールに従い、世の中のルールとのズレがわからなかった

 

・親が親子関係の絆に依存し、外の人間を信用できないようになった。
 長く続いている人間関係は親しかいないので、親に不満を持てなかった。

 

・自分の気持ちをそのまま表に出す経験を持てなかった

 


など

まだまだありますが

 

機能不全の家庭で育ってきたせいで
愛着障害の人は苦悩を抱えるようになってしまったんですね。

 

 

 

愛着障害の人の一番の苦悩は
「人間関係が難しい」ということだと思います。

 


愛着障害のカテゴリーで書いてきたように

 

人に心を開けない、自分の気持ちが分からない…などは
自分のせいではないけれど
愛着障害の人なら残念ながら当然のことですね。

 

 

 

このような愛着障害の人がカウンセリングを受けたとしたら
どうなるでしょうか。

 

 

 

今までの人間関係と同じように

 

無意識で
心を開いているフリをしてしまったり
好かれる人間を演じてしまったり
建前を本音のように話してしまったりします。

 

 

 


愛着障害のカウンセリングが
膠着状態になりやすく
一定のところから効果が出なくなりやすいのは

 


クライエントは

 

なんとなく
カウンセリングで心を開いている気がする
自分の気持ちを語っている気がするだけで

 

実は
心を開くまでに至っていないし
本当の気持ちだと思い込んでいるだけで
建前を語りつづけてしまい

 


カウンセラーも
それを心を開いてくれていると安心して
良いクライエントだと喜んでしまう

 


もうほとんどカウンセリングにはなっていないのですが
話を聞いてもらえるだけで少し楽になるので続ける・・・

 

こんなふうに
無駄な時間が流れていってしまうからなんです。

 

 

 

愛着障害のカウンセリングは
他のカウンセリングとは違いがあります。

 

ただ気持ちを丁寧に聞き取っていくだけでは進みません。


楽にカウンセリングは進んでいかないはずです。

 


もちろん
それまでに人に自分の話を丁寧に聞いてもらえなかった人は
話を聞いてもらえるだけで楽になる部分はありますよね。

 

でも
愛着障害の人は
自分のことを育て直さないと
本当の意味で楽にはなれないんです。

 

 

 

クライエントさんは

 

子どもとして育ててもらう時間が無かったのだから
心は子どものままです。
奥底では、幼稚でワガママで聞き分けが悪く大人に反抗的なはずです。

 


これまでずっと1人で全てを抱えてきているので
秘密を明かすのは簡単ではなく
大変な恐怖を持っているはずです。

 


とてつもなく我慢をしてきているので
大変な怒りを抱えているはずです。

 


とてつもなく人から傷つけられてきているので
大変な人間不信があるはずです。

 

 

 

元々はとても心優しく、人なつっこく、賢く、力はあったとしても

 

現在、表に出ている姿は完璧で素晴らしい人間性だとしても

 

カウンセリングでのコミュニケーションは

上記の難しい部分が表れてくるものになります。

 

すんなりと進んでいかないですよね。

 

 

 

愛着障害のカウンセリングは

 

表に出ている姿とカウンセリングを続けるのではなく

 

まずは

内側に隠れている姿を出すことが先決で、とても難しいことなんです。

 

 

 


愛着障害の人は

 

自分の言動を自分の恥だと思っています。

 

ですから、それを隠さずにはいられません。

 


本当は

 

愛着障害の人の言動は
親に刷り込まれたものであって、何一つ自分の恥ではないのですが

 

それまでに人から自己責任と非難されてきたせいで
とてもそうは思えなくなってしまいました。

 


そうするとどうでしょうか。

 


自分の恥だと思っている、これまでの言動や今の思考を
カウンセリングでとにかく隠そうとしてしまうんですね。

 


カウンセリングで本当のことを言えずに隠し続けてしまっては
本人が苦しい上に、カウンセリングも進みません。

 

 

 

まずは
ずっと自分の性格のせいだと思っていた言動には
ちゃんと原因があり、そうせざるを得なかったんだと知ってもらいます。

 


養育過程で刷り込まれてしまったんだということ

 


子どもの頃から親の助けがなかったせいで余裕が無く
1人で抱えてきたせいで人間不信になってしまったんだということ

 


親に心を育ててもらえなかったせいで心が育たないままで
人と交流するのはとても怖く傷つくことばかりで
自分を守ろうとするようになったせいで

悪い性格と思われる言動をとってしまうんだということ

 


この他にも沢山の原因はありますが

 

このような原因を理解して

 

「自分のせいではないんだ」と少しずつわかってくると
隠していた自分の話を少しずつ表に出せるようになってきます。

 

 

 

愛着障害の人は

 

自分の話をするということ自体がハードルが高く
スタートに立つまでがとても大変なんです。

 

 

 

 

 

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