逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

逃げてなんかない、攻めてるんだ

私は逃げ足が早い。

 


自分ではそんな自覚はなかったけれど

 

逃げずにじっと耐えている人たちに出会う度に

 

「あぁ私はずいぶんと逃げ足が早かったんだな」

 

と思うようになった。

 

 

 

学生時代のバイト

 


私の逃げ足の早さは抜群だっだ。

 

 

 

23年前。

 

その当時は何だかイケてるような気がしていたピザ屋でのアルバイト。
中でも有名だったピザー〇は当時ちょっとキラキラしてた。

 


この頃は

アルバイトでも、面接で頻繁に落ちる時代だったと思う。
大学の同級生の間で何度も落ちたという話はめずらしくなかった。

 

私は一瞬だけちゃんとすることが得意だ。

 

どんなに人気で倍率の高いアルバイトでも落ちたことはない。

 


「どんなことでもやりますっ」
「休みませんっ遅刻なんてしませんっ」
「ここで働きたいんですっ」

 

なんてことは

言葉に出しては言わないが
そんなオーラを出しつつ
真面目で素直で明るく元気な子を演じられる。

 

もちろんピザー〇も合格。

 


さぁ初日。

 

制服が素敵!
その当時では珍しいアメリカナイズドされたおしゃれさ(個人の感想)
帽子もまたかっこいい~

 

デリバリーのメンズは同年代のイケてる人たち。

 

ピザ生地くるくる回して
すばやくかっこよく具材をのせてインスタ映えするピザを作り上げる。

 


私の目にはキラキラして見える職場。

 

テンション爆あがりで
「このイケてる人たちと仲良くなる」
「いつか私もピザ生地くるくるする」

 

熱く思っていた。

 


ところがそう上手くはいかない。

 

私を指導してくれる人は・・・

 

ここで一番長く働いている
23歳の金髪ヤンキーの女性

 


あぁ嫌な予感

 

中学時代はヤンキーの女の子と仲良しだったというのに

 

ある程度成長してから私は
知らず知らずのうちに優等生お嬢様キャラに見られやすくなり
私はそういう人に目の敵にされやすくなったんだ。

 

 

 

さあ、ピザの野菜を刻む

 

小さい頃から料理をしてる。
包丁使いは自信がある。

 

マッシュルームもピーマンも
誰よりも早く綺麗に切っていく。

 

「すごいね」
店長もバイト仲間も褒めてくれた。

 

しかし金髪ヤンキーは
「これとこれ太さが違う」
「早きゃいいってもんじゃないんだよ」

 


・・・いやいや
他の人の切った野菜はもっとバラバラじゃないか。

 

 

 


ピザ生地にソースを塗って美しく野菜を並べる

 

ピザはスピード勝負。
せっかちな私はスピードには自信がある。

 

ささっさささっ

 

「はやっ」
これまた店長やバイト仲間は褒めてくれた

 


しかし金髪ヤンキーは

 

「私のと比べて」
「こんなんじゃ売り物にならない」

 

いやいや確かに何年もやってる人と比べたら劣るって
私人生で1枚目のピザだよ
横の入店一ヶ月の人より綺麗じゃないの

 


ずっとこんな感じで
わかりやすくいびられる私。

 


その日の帰り

 

山口百恵ばりの空気をかもしだし
たたんだ制服の上にそっと憧れの帽子を置き

 

(さよなら・・・)
とつぶやいて帰った。

 

 

 

えぇ

 

1日です。

 

友人達にどれだけ罵られたか。

 

「1日って!根性なさ過ぎ!」
「バイトなめすぎ!」

 

 

 

ふふん。

 

私にとっては勇気ある撤退よ。

 

憧れのピザー〇。色んなものあきらめたんだから。

 

どう考えたって
あのヤンキーのいびりがやむとは思えないもの。

 

やむまで耐えようなんて思わない。

 

 

 

次にガソリンスタンド。

 

自分でもどうして…と思うチョイス。

 

その当時の彼が車が好きで毎日ドライブしていて
ガソリンスタンドの店員さんが素敵に見えた。

 

キビキビと動く姿、活気のある明るい人たちに惹かれた。

 


私が選んだのは制服が一番素敵だったESS〇。

 

面接はいうまでもなく軽くクリア。

 

仕事ぶりも素晴らしかった。

 

移動はすべて小走り。

先輩の雑用はすべて私が先回りしてやる。

汚い、面倒なことを率先してやる。

 


そんな私の姿に
仕事の評価はもちろん高く
周囲の人も私に好感をもってくれているのが伝わってくる。

 

完璧だ。

 


その日の仕事を終え

 

心から職場の人たちに
「1日ありがとうございました」
「明日からもよろしくお願いします」といい

 

あぁなんて素敵な人たちだろう
仕事も楽しかったなぁ・・・なんて思いながら

 

彼の待つ家に帰る。

 


「おつかれさま」
「ごはんつくって」

 

手を見る。

 

ガソリンの汚れがひどい。

 


料理をする前に何度も何度も手を洗う。

 

それなのにどうしても手からニオイがとれない(嗅覚過敏)

 

 

 

・・・・・

 

辞める。

 


最高の仕事。最高の仲間。

 

でも嗅覚過敏の私。

 

手のニオイに耐えられそうもない。

 

 

 

えぇ。

 

1日です。

 

あれだけ最高の笑顔で「明日!」と帰ったアルバイトが
まさかやめるなんて想像もできないよね。

 

みんなびっくりしたろうなぁ。ごめんなさい。

 

でも無理して続けても
どうせ我慢しても数ヶ月。
仕事を教えてもらって育ててもらって中途半端にやめたって迷惑だ。

 

 

 

次にしゃぶしゃぶ食べ放題のお店。

 


家から近く、メニューが少なく仕事が簡単そうで
アルバイトが同じ大学生が多そうで制服が可愛い。

 

そんな理由で決めた。

 

面接の時からおかしかった。

 


「竹田さんかわいいね」

 

「うちのバイトの男の子喜ぶ」

 

「ぼくも嬉しい」

 


女として扱われるなんとも不快な面接。

 

20代の若い店長。

 


私の当時の容姿の説明が難しいが
一般的にかわいいと言われはしない酷いシャクレだった。

見事な反対咬合だ。

 

人によって明らかにブス扱いされたり
こうやって
好みの問題でやたらと好かれたりした。

 

そのシャクレが好きな人に当たると
すごくしつこくされるのだ。

 


ここでも店長の好みが私ドストライクだったらしく

 

他のアルバイトが
「店長デレデレじゃ無いですか」
「竹田さん狙われてるよ」というくらいあからさまな態度をとる。

 


店長直々に仕事を教えてくれるんだけど
それが文字通り手取り足取り。

 

しゃぶしゃぶの道具の扱い方を教えるのに
いちいち私のうしろに回って手を触る。

 

彼氏以外の男性に触れられるのが苦手な私。
でも嫌だという態度には出す勇気も無い。

 

ただ心の中で「死んでくれ・・・」と祈る。

 

 

 

というわけで

 

1日でやめる。

 


このセクハラ系でやめた店は他にもある。

 

 

 

アルバイトを何回も一日で辞めるという

この逃げ足の早さは

 


周囲の人には

 

アルバイトがいつも続かないダメ人間

 

ただ我慢が出来ないダメ人間

 

そうやって言われたけど

 

 

 

自分はとにかく正当な理由があったと思っているし

 

逃げたというより

 

本当に勇気ある撤退だと思っている。

 

 

 

人から見たら逃げているんだけど

 


この時の私自身のイメージはいうと

 

自分の素晴らしい未来を目指して
困難があっても蹴散らして突き進んでいる

 

こんなイメージ。

 

 

 

もうね

 

脳内では

 

逃げているよりも攻めているようなイメージを持ってるわけ。

 

 

 

実際に

 

ちゃんと自分に合ったところを見つけたらね
長く勤めたし、ストイックに働いてたのよ。

 


居酒屋白木〇ね。

 

当時ここは

すごく忙しくて仕事もきつくて
周囲からは厳しいアルバイトと認定されてて
アルバイトのほとんどがすぐやめちゃうのが当然の職場だった。

 

でも私は全然平気だったし
週5で夕方5時から朝5時まで働くこともあって
2年勤めた。

 


そうよ。

 

ダメ人間じゃないの。

 

 

 

みんなはね

 


逃げを逃げとして

 

なぜだか自分の弱さとしてとらえるけど

 


自分が耐えるに値する厳しさじゃないんだったら

 

逃げたって
それは逃げじゃないし弱さじゃないと思う。

 


自分が納得できる
自分を高めてくれる厳しさのところが見つからないから

 

違うと思ってすぐに撤退するのは

 

逃げじゃなくて攻めでしょ。

 


自分の明るい未来のために攻めてるのよ。

 

 

 

正しいことじゃないかもしれないけど

 

人生のすべての局面で逃げ足が早かった私は

 

自分のことを

 

「無駄なくよく攻めてきたな」

 

と思っているのです。

 

 

 

 

 

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