依存症には本当に様々なものがありますね。
何だか一つ一つ、イメージが違うと思いませんか。
食べることに依存している人は食欲をコントロールできないだらしない人。
ギャンブルに依存している人は不真面目で堕落している人。
買い物に依存している人は空っぽでだらしない人。
アルコールや薬物に依存している人は反社会的な人。
窃盗に依存している人は犯罪者。
性的な依存がある人はいやらしく嫌悪する存在。
大まかに言うと
多くの人がこのような印象を持っているのではないでしょうか。
これまで
依存症は人格とは関係なく
依存症には発症する理由があると書いてきました。
この事は依存症を持つ本人や、周囲の人に
必ず頭に入れておいてほしいことです。
この理由を知らないと
依存症そのものが
その人の人格を表しているように見えてしまいますよね。
依存症の印象で
自分の人格のイメージを決めてしまう
人に自分の人格のイメージを持たれてしまう。
これが依存症を悪化させていく要因です。
何度も言わせてもらいますが
依存症とその人の人格とは全く関係ありません。
私は多くの依存症がありました。
その時は
私自身もその依存のイメージで自分の人格を見ていました。
何一つ我慢できない、自制心の無いだらしのない人間。
不真面目で人の道から外れた人間。
いやらしく気持ちの悪い人間。
とことん自分を否定して嫌悪して責めて
毎日、自分に落胆しどん底に落ちていきました。
そのことから逃げようとして
また依存が増していきました。
依存症が治った今
依存していた頃の人格らしいものが私の中に残っているかというと
カケラも残っていないんです。
私に会った人なら分かりますよね。
今は、本当に多くの人に
「ストイックすぎる」
「真面目すぎる」
「どうしてそこまで出来るのか」
「純粋で真っ直ぐで信頼できる」
こんなふうに言われるようになりました。
自分自身でも困るほど
ストイックな部分、自制心が強すぎる部分を感じますし
真面目すぎる部分があります。
真っ直ぐすぎて不器用で人が良すぎるせいで
困ったことも多いです。
治って分かったのは
依存症だった頃のイメージとは、全然違う人間だったということです。
クライエントさんも同様でした。
依存の種類の違いによって
その人の性格の違いは全くありません。
私が出会った
食べることに依存していた人
アルコールに依存していた人
人に依存していた人
買い物に依存していた人
性的に依存していた人
その全ての人が
元々は普通の人より
ストイックで自制心が強すぎる部分があり
真面目すぎる部分があり
真っ直ぐすぎて不器用で純粋な人だったんです。
私がアルコール依存にならなかったのは
アルコールが苦手な体質だったからです。
私がギャンブル依存になったのは
人に半ば強引に連れて行かれて経験し、勝ってしまったからです。
人に連れて行かれなければ
養父の影響でギャンブルを嫌悪していたので
ギャンブル依存にはなっていなかったでしょう。
私が買い物依存になったのは
水商売をしていた時
一時的に買い物ができるお金を手にしてしまったからです。
依存症の種類は
偶然に、その人が手を出しやすかった
偶然に、それが可能だった
偶然に、出会ったり、誰かの勧めで始まっただけで
依存症が始まるメカニズムは全て同じだと私は考えています。
人間にもともと備わっている欲求のものが
一番手を出しやすいことなので
摂食障害などの食べ物依存、性依存の人が比較的多いのかもしれません。
依存症を
物質依存、プロセス依存、関係依存の3つに分けることが多いですが
ただ分かりづらくなるだけで、あまり意味がないと私は思います。
また
治療法も依存症の種類によって違うことがあります。
一時的に依存をやめるためには
その依存症の種類によって
すみやかにやめる方法があるかもしれません。
ですが
全ての依存症から抜け出し、その状態を維持するためには
<依存症になる理由>で書いたように
自分の内側の刺激
つまり
自分の感情をありありと感じられるようになることでしか改善はしません。
依存症の種類によって
自分の人格を決めつけ、自尊心を下げていく。
これが
依存症が酷くなっていく理由の一つだと私は考えているので
一番大事なのは
依存症の種類と人格は関係ないのだということを理解することです。