逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

高機能型の境界性人格障害の原因⑧ー理由を後付けするー

境界性人格障害の人は

 

愛着障害が根底にあるため
愛したい、愛されたいという欲求がとても強いんです。

 


それなのに

 

愛着障害であるゆえに
愛することも愛されることも難しい状態にあります。

 

 

 

それは以下のような特徴によるものです。

 


・いつも不安が高く、人を見透かしやすいため
 人のマイナス面ばかり目につき、人を安定して愛せない。

 

・自分の周囲に集まってくる人も、愛着障害であることが多いために
 お互いに愛情を与えられない。

 

・感情を感じることも表現することも難しく、感情のコントロールが難しく
 人との距離も計れず、人と長く関係を継続するのが難しい。

 

・いつも人に合わせているため
 自分がどう感じていてどう思っているのか分からないため
 人と長く関係を継続するのが難しい。

 

・自分の世話をやくことが出来ず、自分のことが見えていないため
 だらしがない部分や幼稚な部分が多く、人に愛されづらい。

 

 

 

愛着障害のせいで
愛することも愛されることも、本当は難しいのですが

 

高機能型の境界性人格障害の人は
これを戦略的に一時的にやってのけてしまいます。

 

 

 

出会ってすぐのうちは

 

外見の魅力や能力の高さや
魅力的な振る舞いや、人柄の良い振る舞いを演じることなどで
人を惹きつけることが出来ます。

 

逆も同じで
一時的に相手に惹かれることもあります。

 

これが関係が長くなってきたときに
問題が出てくるんですね。

 

 

 

関係が長くなってくれば
先ほどの愛着障害の特徴が隠せなくなってきます。

 


だんだんと嫌な所ばかり見えてくる
愛情が感じられなくなってくる
だんだんと喧嘩が増えてくる
自分が保てなくなってくる・・・

 


そうなれば
一般的には離れたり別れたりすると思いますが

 

高機能型の境界性人格障害の人は
一度愛された、愛した相手と離れたくないとしがみつきます。

 


どんなに嫌になっても

離れて孤独になることの方が耐えられません。

 


関係がどんどん悪化していっても
相手に嫌われたくない、相手を嫌いたくない気持ちで
必死に我慢をします。

 


ところが
境界性人格障害の人の我慢は普通とは違います。

ただじっと耐えることが苦手です。

 


高機能型の境界性人格障害の人は
自分の頭を使って「我慢を我慢にしない」工夫をしていきます。

 


この工夫が
高機能型の境界性人格障害の症状を悪化させる
大きな原因になってしまうんです。

 

 

 

相手の嫌な面や悪い面が見えてきた。
       
       ↓

 

でもあんなに楽しい時間を過ごした。
あんなに優しい時があったし優しい言葉をかけてくれた。
だから本当は素晴らしい人なんだ。

 

 

 

相手が自分を傷つける言動をした。

 

       ↓

 

相手には事情がある。本当はそんなつもりは無かった。
自分だって悪かった。
だから本当はいい人なんだ。

 

 

 

愛情が感じられない。自分勝手な言動が増えた。

 

       ↓

 

自分の魅力が足りない。自分が何かやってしまったからだ。
だからもっと自分が頑張れば愛される。

 

 

 

こうやって
無理に相手を肯定し、無理に前向きに捉え

 

我慢をしないよう、不安な気持ちにならないよう
現実を歪めていきます。

 

 

 

 

まだあります。

 

 

 

相手を好きではなくなった。嫌いになってきた。

 

        ↓

 

でもこれだけ一緒にいたいと思っているんだから
良い時を思い出すと胸が高鳴るんだから
きっと自分はこの人を好きなんだ

 

この人のことをこんなに考えているんだから
自分はこの人に夢中なんだ

 

この人にしか自分を出せないんだから
この人は自分の大事な人なんだ

 

 

 

自分の気持ちが分からないので
自分の言動を解釈して

自分が相手を好きである理由を後付けして

 

関係を続けるために

何とか嫌いにならないようにしていきます。

 

 

 

こうやって

 

高機能型の境界性人格障害の人は
理由を後付けして自分の気持ちを動かしていこうとしています。

 


理由を後付けすることで
自分を無理に納得させるんです。

 


それに全く気づかず
後付けした理由が

自分の本当の考えだと思い込んでしまうんですね。

 

 

 

こんなことを続けていたらどうなるでしょうか。

 

 

 

自分にとって
負担が大きい、不快で不満が多い関係を続けることになります。
負担が大きい、不快で不満が多い場所から動けなくなります。

 

どんどんストレスが増えていきますね。

 

 

 

自分に不満があることも傷ついていることも認めず
自分の気持ちに蓋をして嘘をついていくことになります。

 

どんどん自分の本当の気持ちが分からなくなって
ずっと自分に我慢をさせることになりますね。

 

 

 

とてつもないストレスが毎日やむことはありません。
毎日自分を押さえつけて我慢を強いて、自分を動かし、限界がやってきます。

 


こうして
感情のコントロールが利かなくなったり
衝動的になったりするような
境界性人格障害の症状が悪化していくんです。

 

 

 

 

 

関連記事

 

 

www.lilcafe-colony.com

 

 

www.lilcafe-colony.com