逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

自叙伝㊱自己愛が高い私②

やはり中学校時代のことを思い出したくない。

 

何故ここまで
この時代のことを思い出したくないのか
こうやって思い返しながら書くまで全く気づかなかった。

 


自己愛が高かったから。

 

思い返しているうちに
それが尋常では無かったことが分かってきた。

 


虐げられ罵られ
とことん辛酸をなめてきた私が
急に祭り上げられ、自分を見失ってた。

 


例えれば

 

食べるのにも事欠いていた人が
宝くじが当たって一夜にして大富豪に。

 

ろくな仕事にもつけず貧しかった女の子が

お金持ちに見初められ一夜にしてシンデレラに。

 

社内でうだつが上がらないと評価されていた人が
大きな会社から能力を認められヘッドハンティングに。

 


未熟な人間にこんな奇跡が起きたら
平常心を保ち自分を見失わないのは難しい。

 

 

 

実際は

中学生になって、いわゆる「中学生デビュー」をしただけだ。

 

でも私のこれまでの人生からすると
これぐらい大きな変化が起きた感覚だった。夢のようだった。

 

 

 


ずっと容姿をいじられ笑われてきたのに
急に褒められ、異性からもてるように。

 

ずっと変人だと馬鹿にされ笑われ恐れられてきたのに
急に賢く頼りがいがあると扱われ、いつも中心人物にされ学級委員にも選出されるように。

 

ずっと恐がりで我慢ばかりしてパニックになって何も言えなかったのに
冷静に辛辣に言葉を発するようになり、皆の前で教師に反抗までするように。

 

 

 

この成り上がりのような出来事が次々と私に起こったのだ。

 

 

 

思い返すと
こんなことはまだまだあった。

 

 

 

<自叙伝㉒ディスレクシアの私>で書いたように
私は勉強が難しかった。

 

中学では全国一斉の選択式の学力テストが頻繁に行われるようになった。

 

これが勘だけでテストを受けてきた私にはまり
学年トップをとってしまった。

 


通知表では2や3ばかりの私。
当たり前だが周囲は頭が悪いという扱いをした。

 

トップを取った後、急に周囲の扱いが変わった。

 

「本当は頭がいいのに隠していた」
「頭が良いのに全く勉強をしない奴」
そんなふうに扱われるようになった。

 


実際は勉強なんて全く理解をしていなかったから
本当にまぐれで選択式のテストで高得点をとっただけ。
以前と何も変わっていない。

 

それなのに周囲の反応だけで自分の価値を決めていた私は
「自分は頭が良いんだ」と思い込むようになった。

 

 

 


自信がついてくると余裕も出てきて
皮肉めいたユーモアも言えるようになった。

 

いつも目の前のことに必死でいた時は
ユーモアなんて分からなくて、すぐ冗談を真に受けてしまうから馬鹿にされていた。
笑いと言えば、自分がピエロになっておどけて笑わせることしか出来なかった。

 

それが自分が話すことで人に面白いと思われるようになったら
人が自分の周りに集まりだした。

 

当時、テレビで中学生が腕相撲で対戦する番組があった。
学校で出演する3人組を決めようとなった時、私が選出された。

 

それで自分は人気者なんだと思い込んでしまった。

 

 

 

心の中では怒りを燃やしていたものの
表向きは真面目で従順だった私が
ちょっとしたきっかけからヤンキーの生徒と交流を持つようになった。

 

いつもビクビクおどおどしていた惨めだった私。

 

皆が恐れるヤンキーの生徒と挨拶をしたり
一緒に集まっていたりすると、一目を置かれるようになった。

 

本当は弱い私は変わっていないのに、虎の威を借っているだけなのに
私は強いと思い込んでしまった。

 

 

 

完全なる勘違いで自己愛の高さはピークに達していた。

 


こんな恥ずかしい姿をずっと人に晒していたのだ。

 


小学校時代の恥とは全く違う。
自分をさらけ出したせいでかいた恥はまだ受け止められる。

 

だけど
自分の本来の姿よりも大きく見せる
自分が本来の姿より大きいと思い込んでいる・・・

 

こんな恥が
今の私にとっては
とてつもなく恥ずかしくて思い出すと苦しくて仕方が無いのだ。

 

 

 

思い出すと苦しくなる理由はまだある。

 


人を見下していたこと。
人の気持ちを全く無視していて自分のことしか考えていなかったこと。
自分の気持ちに正直にいられなかったこと。

 

 

 

モテない子、容姿に気を遣わない子がどんなに良い子でも
私は見下していた。

 

 

 

黒縁めがねの高ぴーは
頭の回転が速く面白く性格が良い子で本当は仲良くしたかった。

 

いつも寝癖がついていて瓶底のめがねをしている田中は
何を言っても怒らなくておどけて笑わせてくれて本当は好きだった。

 

髪を洗わない、いつも下を向いてボソボソと話す有賀は
私が好きなアニメをとても上手に書いてイラストをプレゼントしてくれた。
本当は憧れて尊敬していた。

 


それなのに
仲良くしていたら恥ずかしい、自分の価値が下がるような気がして
鼻で笑うような態度をとったり距離を置いたりしてしまった。

 


これを書いていて何だか泣けてきた。

 

 

 

私は自分の安全を守るために
きっとすごく傷つけた。

 

自分の表面的な価値を守るために
本当の自分の気持ちを無視して欲しいものを壊した。

 

 

 

大きな後悔があった。

 

表面ばかり取り繕って傲慢で人を傷つける私。

 


だけど
あの頃の私には無理だったのかも知れない。

 


これまでの人生が悲惨だったから

 

どんなことをしても安全を確保する必要があったのかもしれない。
どんなことをしても自分の価値の高さを感じる必要があったのかもしれない。

 


ちゃんと振り返ってみると
このころの酷い自分ですら責めたくはない気持ちになってくる。