逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ちゃこ鼻腔腫瘍②ー癌と診断されるー

 

検査の日です。

 

検査の場所は
練馬のキャミックというところです。

 


その日は朝からずっと
激しく緊張をしていました。

 

 

 

これまで近くの病院までしか移動したことがなかったのに
何時間もちゃこを連れて移動する。

 

ちゃこは大丈夫だろうか。
恐がりだから不安だろうな。

 


MRIとCTを撮るため、全身麻酔をかける。

 

ちゃこはワクチンでも副作用で苦しんでいたから
体が心配。
それに怖いだろうな。

 


そして
もしかしたら
今日癌と分かってしまうかも知れない。

 

もしそうだったら
私はどうなってしまうだろうか。

 

 

 

本当に不安でいっぱいです。

 

 

 

こういう時
私は一人では何にも出来ないので
友人についてきてもらいました。

 

ありがたいことに
色々な調べ物や手続きなど全部やってもらい
沢山助けてもらいました。

 

 

 

キャミックに到着し、受付を済ますと
早速ちゃこを預かられます。

 


ちゃこが心配で心配で
離れるのが辛かったです。

 


「3時間後に戻ってきてください」
と言われました。

 

その3時間ずっと
暗い顔をして癌じゃないかと心配していたら
心が持たないので

 

「絶対に癌ではない」
そう思いこみながら

 

待ち時間は
友人と美味しい物を食べながら笑い話をして
なんとか過ごしました。

 

 

 

そして3時間後・・・
いよいよ結果がでます。

 


まずはちゃこと対面。

 

すごく心配でしたが
にゃあにゃあと早く帰ろうとばかりに鳴いて
とても元気でした。

 

ほっとしました。

 

すごく嬉しかった。

 

全身麻酔は大丈夫だったみたい。

 


そこから
診断結果報告で呼ばれるまでが長かったです。

 

20分ぐらい待ったでしょうか。

 


動悸が止まりません。

 

もし癌だったらどうしよう。
闘病は出来るのか。
ちゃこが死んでしまうのか。
私は耐えられるのか。

 


ずっと色んな考えが浮かんでは消えます。

 

 

 

ちゃこが全身麻酔後で負担が大きいだろうと

 

結果を聞いた後に
すぐタクシーで帰れるように

 

ちゃこと対面してすぐに
タクシーを呼んでしまっていて
タクシーはもう来てしまっていました。

 


待たせてしまって
タクシーの運転手さんにも悪いな。

 

早く結果を聞いて急いで行かないと・・・

 

なんて考えながら

 

「大丈夫という結果を聞いてさっさと帰ろう」
と楽観的な考えも一瞬浮かびました。

 

 

 

そこで呼ばれました。

 

一瞬で恐怖が襲ってきて
心臓が口から飛び出そうです。

 


部屋にはいると
先生は朗らかに挨拶をしてくれ
画像を見ながら淡々と説明をしはじめます。

 

この様子だと多分大丈夫だったんだろう
と私は思い

 

すごくホッとしました。

 


説明は続きます。

 

 

 

「この様子だとかなりの確率で悪性腫瘍。
 しかも骨が変形するぐらい大きくなっている。」

 

そう言われました。

 


淡々と言うので
何を言っているのか一瞬よく分かりませんでした。

 

でも
友人の表情を見て
「あ、癌なんだ」と思いました。

 

その直後
涙がボロボロこぼれました。

 


ちゃんと話を冷静に聞くふりをしながら
大人としての態度を保とうと必死でしたが

 

涙はボロボロ出てきます。

 


その先生は
こちらの気持ちは関係ない
私が泣いているのが見えていないように

 

そんな態度で説明を続けていました。

 


私には
もう何も聞こえていませんでした。

 

 

 

共感なんて求めていないけど
「残念ですが」ぐらいの言葉は欲しかった。

 


癌などを診断するような機関だから
癌が発覚するのは日常茶飯事なんでしょう。

 


だけど
何もなかったかのように朗らかな態度
風邪を診断するように軽く伝えられ
涙が止まらない私を無視するような態度に

 

大きなショックを受けました。

 

 

 

帰りのタクシーでは
運転手さんがいるのに

 

そんなことには構っていられず
堪えられず号泣してしまいました。

 

 

 

「ちゃこが死んじゃう。どうしよう」
その言葉を繰り返していたように思います。

 

友人もちゃことは付き合いが長いので
きっとショックを受けていたはずです。

 

でも
私を気遣って気丈に振る舞ってくれていました。

 

 

 

本当に
晴天の霹靂でした。

 


確かに今思うと

 

今年に入ってから
あまり遊ばなくなったり
もこと追いかけっこをしなくなって
寝る時間が長くなったりしていました。

 

でも9歳になったらそんなもんだと思っていました。

 


毎日一回は走り回ってはいたし
ごはんもモリモリ食べていた。

 


それなのに癌なんですね。

 

 

 


飼い始める前から
私は猫の死に耐えられないだろうと考えていたから
猫を飼うのが怖かったんです。

 


でも縁があって飼うことになって

 

ばかみたいですが
飼い始めた日から
いつも猫の死を恐れていました。

 


しょっちゅう
ネットで猫を亡くした方の体験を読んでは
うちの猫のことを想像しては泣いていました。

 


開業のときにはもう
数年後には猫が死んでしまうかもしれないと考えていて

 

5年後ぐらいまでには
店を安定させて
貯金して
闘病期間や亡くなったとき
数ヶ月は休めるようにしようと考えていたんです。

 

 

 

それなのに
まさか開業して半年でこんなことに。

 


忙しくなってきていて
クライエントさんも私がいないと困る状況。

 

自分自身も開業資金などでお金にも余裕がない状況。

 

今はとても休めません。

 

 

 

どうしてだろう。

 

どうして
私はこんなに大変な人生でも頑張って生きてきて
こんなに人のことばかり考えてきたのに

 

やっと開業をして
自分の人生が始まったばかりで
私にこんな試練が起こるんだろう。

 


こんなこと
考えたってしかたないですね。

 

恥ずかしいですが

 

感情的になって
自分ばかり不幸な気持ちになって
こんなことばかり考えていました。

 

 

 


この後
検査結果を主治医に持って行くと

 


ほぼ癌で確定です。
ただ癌の種類によって余命も異なります。

 

多分リンパ腫ではないと思うから
緩和ケアなどを考えてください。

 


と言われました。

 

 

 

緩和ケア・・・

 

これは
余命が1~2ヶ月
ということを示唆しているようだと後々調べて知りました。

 

癌であっても
数年はあると思っていたのに。

 

1~2ヶ月だなんて。

 

あんなに元気なのに。

 

 

 

この日は一日中泣いていました。

 

友人に報告しては号泣して
1人でも泣いて

 

寝ようと思ってもちゃこのことを思うと
涙が止まらず眠れません。

 

ちゃこがいなくなることが
とても信じられませんでした。

 

 

 

こんなに自分が心をやられていては
カウンセリングはもう出来ないな。
もう休むしかない。

 

私がこんな状態では無理だ。

 

休んでいる間の店の賃料のことを考えると
店を一度閉めるしかないな。

 


そう思い詰めていました。

 

 

 

でもやっぱり
かぶのはクライエントさんの顔。

 

本当に藁をも掴む気持ちで
私のカウンセリングを受けにきて

 

カウンセリングを数ヶ月続けて
やっと光が見えてきたのに

 

私が休んでしまったら
みんな路頭に迷ってしまう。

 


こう書くと
大げさだと思われるかもしれませんが

 

うちのクライエントさんなら実感してくれますよね。

 


うちのカウンセリングは
愛着障害の方ですから

 

みんなそれぐらい
ギリギリで私を頼っていたし
カウンセリングで何とか保っていましたよね。

 

 

 

これまでの人生も
崩れそうな場面は何度もありました。

 

でもその度に
自分のことを置いて
人のことを考えてやってきたことを思い出します。

 


自分の為だと頑張るのが難しい。
人の為だから踏ん張れる。
自分の辛さから目をそらしながら頑張れる。

 

これまでの
そんな思い出を思い返していました。

 

 

 

クライエントさんのために頑張ってみよう。
そう思いました。

 


たかが飼い猫の癌で・・・と
大げさと思われるかもしれません。

 


でも
ブログに書いてきましたが
ちゃこともこは私を救った猫です。
<猫が私を変えてくれた>

 


もともと家族のいない私
現在も家族がいない私には
大事な大事な
大きすぎる存在でした。

 


その存在が
急にいなくなるかもしれないんです。

 

伝わるか分かりませんが
私にとっては
とてもとても大きな出来事です。

 

 

 

一日中
ちゃこのことばかり浮かんで涙が出てきます。

 

何をしていても
「死ぬかも知れない」とすぐに浮かんできます。

 


カウンセリングの時間5分前でも
涙が出てきました。

 

でもクライエントさんがくると
すっと涙が止まって
カウンセリングに集中できました。

 


この時は
一日中クライエントさんからの電話を受けていたんですが

 

号泣しているときでも
クライエントさんから電話がかかってくると
すぐに気持ちがクライエントさんに向いて収まりました。

 


我ながら驚くほど
クライエントさんを前にすると
集中してちゃこのことを一旦置くことが出来ました。

 


この経験で
カウンセリングは出来る。
クオリティも下がらない。
何があっても続けよう。

 

そう思えました。

 

 

 

 

 

 

 

かかった費用

 

〇10月2日

 

MRI+CT検査    102,600
MRI造影検査(1部位)6,480
採材                               5,400
点滴                               1,080
酸素室                           2,160

計                               127137