逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ちゃこ鼻腔腫瘍④ー抗ガン剤の副作用、放射線治療ー

 

抗ガン剤治療をした日

 


直後には元気だったちゃこですが

 

数時間後に急に吐きました。

 

夜中にも吐いて
次の日の朝にも吐いて

 

ご飯を食べなくなってしまいました。

 


抗ガン剤治療のためには
ご飯を食べて体力をつけなきゃいけないのに。

 

 

 

怖くなって急いで病院に行きました。

 

すると主治医の先生は現れず
知らない若い新人の先生が診ることになりました。

 


抗ガン剤をしてから
全く食べないことでとても不安なときに
初めて会う新人の先生で不安が高まります。

 


その先生は

 

「抗ガン剤の副作用はあるものです」
「点滴をしましょう」
「鼻腔腫瘍でにおいが分からないからかも」

 

と全く食べないことの心配をしてくれません。

 


そして
私が何か聞くたびに何度も裏に行って
主治医に聞きに行っています。

 


これが不思議で仕方がありませんでした。

 


なぜ抗ガン剤治療になって
急に先生を変えるのか。
顔も見せないのか。

 

こんなに頻繁に聞きにいくなら
主治医の先生が診た方が早いはずなのに。

 

 

 

これまでずっと9年間
同じ主治医の先生がちゃこを診てくれていました。

 

なのに
この一番大変な状況の時に
なぜか急に
若い新人の先生に代わったんです。

 

 

 

主治医の先生は
自分で誤診だと思っているのではないか

 

ひどい考えですが
そう思ってしまいました。

 

 

 

抗ガン剤治療の直前まで
ちゃこは癌でも食欲があって元気だった。

 

抗ガン剤はしない方が良かったんじゃないか。

 


副作用で体力が落ちて
癌と戦えなくなって亡くなってしまうことだってあるのに
ちゃこが食べなくなってしまってどうしたらいいのか。

 


こんな思いと
主治医に対する強い不信感で

 

頭がいっぱいでした。

 

 

 

3日経っても
ちゃこはご飯を食べようとしません。

 


病院に行っても
「点滴をしましょう」
「吐き気止めの注射をしましょう」
と言うだけで

 

食べないまま時間は過ぎていきます。

 


その点滴は脱水を防ぐためだけのもので
栄養がある訳ではないそうです。

 


ネットで見ると
強制給餌や胃ろうチューブのことを教えてくれるようです。

 

何故食べないまま放置するのか
全く理解できませんでした。

 

 

 

体力が落ちて癌と闘えなくなってしまう。

 

猫は食べないと肝臓をやられてしまう可能性があります。

 

それなのに
何も提案はされませんでした。

 


ちゃこが食べなくなって2日目ぐらいから
このままではまずいと思い
自分でインターネットで調べ
3日目に勝手に強制給餌を始めました。

 

 

 

ここで放射線治療を考えました。

 

私が調べたところ
鼻腔腫瘍には放射線治療も大きな効果が出る。

 

抗ガン剤と違い
他の場所への転移の心配はあるが
鼻腔腫瘍からの転移はまれである。

 


経済的な問題から
放射線治療は考えていませんでしたが
抗ガン剤で戦うどころか
このままでは食べないで弱ってしまうと思ったし

 

放射線治療が少ない回数でも延命は望めるとわかり

 

今の病院にも不信感があったので
放射線治療を受けてみようと考えました。

 


とりあえず
二回目の抗ガン剤は投与したほうがいいとのことで
二回目の抗ガン剤までで
放射線治療に切り替えることにしました。

 

 

 

ちゃこの鼻腔腫瘍に効果が望める放射線治療ができるのは
日本動物高度医療センターでした。

 

場所は川崎です。うちからは遠い。

 

連絡をしてみると
放射線治療は平日のみ。
予約をとれる時間も限られる。

 

カウンセリングの合間をぬって通うのは大変ですが
やるしかありません。

 


電車では無理なので
車・・・
私は免許がないのでタクシー。
往復2万円ぐらいかかります。

 

こんなときにお金の心配。
情けないですが
現実的にみなさん悩むことになると思います。

 


治療費も大変なのにどうしたらいいか。

 

それに
不安で心細くて
1人ではとても行けない気持ちでした。

 


こんなとき

 

友人たちが本当に力になってくれました。

 

仕事がとても忙しい中

 

本当は絶対に休みが取れない時に
休みをとろうとしてくれたり

 

それまで使ったことのなかった有休をとろうとしてくれた。

 

本当に大きな支えでした。

 


家族も夫も恋人もいない私は
こういう大ピンチの時
どうしようもなくなりますね。

 

自分って1人だなと思います。

 


でも
友人たちは私を家族同然に扱ってくれている。

 

以前から思っていましたが
このとき改めて強く感じました。

 

家族でなきゃできないだろう
っていうところまで
皆は助けてくれるんです。

 


経済的な問題も
「後悔の無いようにやったほうがいい」
「迷惑じゃなかったら出させてほしい」
「いくらでも貸す」
なんて言ってくれました。

 

本当に恥ずかしいですが
開業したばかりの私は
放射線治療をする余裕がなかったので
実際に友人たちに頼りました。

 

 


ちゃこが癌になって闘病して
あらためて友人たちの愛情に気づかされました。

 

 

 

何度も川崎まで行かなければならないので
何度も友人に頼まなければなりません。

 


友人たちは私から話は聞いていても
それぞれ一度も会ったことがないのに

 

みんな
「この日は自分が行ける。
 この日は〇〇さんに頼める?△△さんはどうかな?」
「〇〇さんが行ってくれるんだね、ありがとうって言っといて」

 

なんて自分のことのように
チームのようになって助けてくれました。

 


私が目の前のことに精一杯で
自分のことばかりで
みんなに感謝をしたり労をねぎらったり
そういうことを何も考えられていませんでした。

 

でも
みんな当たり前のように助けてくれました。

 

 

 

こんなサポートのお陰で

 

ちゃこは放射線治療をすることが出来ました。

 


高度動物医療センターの先生はとても優しい人で
ちゃこに「大変だったね」なんて話しかけながら
放射線治療の話をしてくれました。

 

こちらが経済的に五回も受けられないことも分かって
治療計画を立ててくれました。

 


それに

 

「ごはんが食べられないのは大変。心配です。
 肝臓がやられてしまう。
 胃ろうチューブの設置も考えてみて。」
とすごく心配をしてくれて
私はやっと分かってもらえたと泣けました。

 


こんなつらい状況の時
治療をしてくれる先生を信じられないことは大変なストレスです。

 

闘病は
主治医の先生を信じられないと出来ないと思います。

 

こうして信じられることが
精神的にすごく助けになりました。

 

 

 

放射線治療の結果ですが・・・

 


なんと
一度で鼻の腫れはみるみる小さくなりました。

 


三度目のあと
CTで確認したところほとんどなくなりました。

 


希望が見えました。

 


もちろん再発はします。

 

でも数年は生きられます。

 


人生で一番嬉しかった。
本当に。

 


あとは食事さえとれるようになればいい。
もう大丈夫だ。

 

そう思いました。

 

 

 

 

 

 


かかった費用

 


〇10月9日

 

再診療    864
皮下輸液料  4,320
制吐剤注射料 2,160

 

計      7,344

 

 

 

〇10月10日

 

再診療    864
皮下輸液料  4,320
制吐剤注射料 2,160

 

計      7,344

 

 

〇10月15日

 

再診療     864
抗癌剤術前検査  5,400
単純レントゲン検査 6,480
抗癌剤       8,640
内服薬       1,436

 

計         2,2820

 

 

〇10月16日

 

再診療    864
皮下輸液料  4,320
制吐剤注射料 2,160

 

計      7,344

 

 

〇10月18日

 

診察料    5,000
検査料   19,790
画像診断料 88,000
薬治料    2,000
処置料    4,300
麻酔料   13,700
放射線治療 16,400

 

計     163,285

 

 

〇10月20日

 

診察料    2,000
薬治料    7,100
注射料    2,800
処置料    2,000
麻酔料   13,800
放射線治療 100,000

 

計     137,916

 

 

〇10月26日

 

診察料    2,000
薬治料    16,500
注射料    2,800
処置料    2,000
麻酔料   13,800
放射線治療 100,000

 

計     147,960