逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

悲劇のヒロイン病

悲劇のヒロイン病…

 

これは誰でもかかる病気です。

ヒロイン病という名前ですが、男性もかかります。

 
ずっと治らない人もいれば、風邪のようにたまにかかっちゃうこともある。

 

気を抜くとすぐにかかってしまい、行動力を奪う恐ろしい病気です。

 


…すみません。

 

これは私が勝手に名付けた名前です(笑)

 


不安が高い

情緒不安定

依存しやすい

人と深い付き合いが出来ない

 

こんな人に共通によく見られる特徴なんです。

 

 

たとえば

 

困難にぶつかったり嫌な事があったりすると

 

「なんで私ばっかりこんなに不幸なの」
「私はこんなにつらいのに誰も分かってくれない」
「私は世界で一番不幸」

 

すぐに自分の不遇さに焦点を当て、そのままそれに酔い続ける。

 
どうでしょうか。
心当たりがある人、多いんじゃないでしょうか。

 
恥ずかしながら私もいまだにたまーにあります。

 


本当にそう思いたくなる大変な状況であることも多いですが

 

それでも実際より少しでも大きく大変だと見積もって自分に酔ってしまうと、自分にとって良くない影響があるんです。

 


最初はただ自分の心の動揺や悲しみ、苦しさなんかを人に分かって欲しかっただけなんですよね。

  

それが自分の世界に入って陶酔しているうちに、本当に自分がものすごい不幸な気になってくる。

気分は、世界で一番不幸な私です。

 

現実にどんなことが起きたか

 

どんなことが原因で、こうなったか

 

自分はどんな気持ちか

 

周囲の人はどんな事情でどんな気持ちだったか

 

こういう現実的なことはボヤかしてしまって、そこにいるのは世界で一番不幸な私だけ…

 


世界で一番不幸な私

悲しみは深く気分はどん底

 


世界で一番不幸な私

みじめになり自尊心はどん底

 


世界で一番不幸な私

こんなどん底では何もできるわけがない

 

 

怖いのは、悲劇のヒロイン病になると

 

自分の感情も事情も、人の感情も事情も考えず妄想的になり

気分は最悪で自尊心は下がり

その状況を良くしていこうという力も無くなってしまう。

 

現実を見ようとせずに自分の世界に入りこんで、被害者である自分という立場から動こうとせず、ただでさえ困難な状況をそのまま持続させてしまうんです…!

 

良いことはないのに、何故みんな悲劇のヒロイン病にかかってしまうんでしょうね。

 

いや…良いことがあるんですよ。

 

 

悲劇のヒロイン病になると

 

世界で一番不幸な私は被害者だから

「人の気持ちや事情は考えなくていい」

「反省点を探さなくていい」

 

世界で一番不幸な私は絶望しているから

「感情を感じなくていい」

 

世界で一番不幸で自分はどうしようも出来ないんだから
「なにもしなくていい」

 
世界で一番不幸な自分は

気持ちを言葉にしなくても察してもらえるはず

「伝える努力をしなくていい」


みんなこの一時的に楽をできる免罪符を求めて悲劇のヒロイン病にかかるんですね。

 

 

でもこの免罪符は

 

現実逃避して妄想的になり独りよがりになる

自分のことだけ考えて人を悪者にする

いつも気分は落ち込み自信は無くなりその困難な状況が持続する

 

これと引き替えです。


免罪符は欲しいし、つらい時にその場ですぐ苦痛を和らげたいですよね…

でもそのせいで人生が思うようにいかなかったんです。

 


あなたは悲劇に見舞われてもここまでやってきた。

出来ることを探して対処して色々な困難を乗り越えてきたはずです。

 

これまでよくやってきた

これからもきっとやれる

 

悲劇のヒロインではなく立派な勇気のあるヒーローなんですよ。

 

ついつい悲劇のヒロインになりたくなっちゃいますけど、これまでの自分がやってきたことを思い出して、誇りに思って、これからも大丈夫!と背筋を伸ばしてやっていきましょうねー