逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ギフテッドの孤独

自分の能力を活かすことができなかった

 

そんなギフテッドはとても孤独です。

 

 


人はみんな孤独だと言われますが
能力を活かすことができなかったギフテッドの孤独は

とても言葉にはならない大きな孤独だと思うんです。

 

 

 

ギフテッドではない人は

 

出会った人の中で

 

なんとなく好感が持てる人

なんとなく気が合う人

笑いのツボが合う人

趣味が合う人

センスが合う人

価値観が合う人…

 

様々な共通点をきっかけにして仲良くなっていきます。

 

 

一方で

ギフテッドは、同じギフテッドに出会うこと自体が稀です。

 

 

ギフテッドは、全体の2〜3%の割合でしか存在しないと言われています。

 

 

やっと出会ったギフテッドに

先ほど挙げたような共通点が必ず見出せるでしょうか。

 

 

 

カウンセリングをしてきて気づいたのは

ギフテッドはギフテッドの特徴を有しているだけで

一般の人と同じようにそれぞれの性格も個性も違うということです。

 

 

ギフテッドというだけで

なんとなく性格が似ているように思われる人が多いのですが

本当にみなさんキャラクターがバラバラです。

 

 

逆にギフテッドだからこそ

経験をより深く経験し、刻み込んでくるので

 

より個性や性格が極端になり

似ている人が少なくなるのかもしれないと思うんです。

 

 

 

ギフテッドが普通の人のように自分と何となく似ている人を求めようとすると

「浮いている」という共通点のある人に好感を持ちやすくなるようです。

 

 

マイノリティの人に好感を持ちやすいんですね。

 

 

 

でも

その人がギフテッドではなかったり

性格や趣味などに共通点がなかったりして

 

長く付き合っていくうちに大きな違いを感じるようになってしまいます。

 

 

それでも似ている人となかなか出会えないので

 

一緒に居て全然楽しくなくても

知能の差で会話が難しくても、一方的に支える側になっても

努力し、我慢して人間関係を続けようとするんですよね。

 

 

人といるといつも押しつぶされそうに重く

その人全体を愛せないと悩んでいるのではないでしょうか。

 

 

 

普通の人は

何十人、何百人と出会って

そこから共通点をきっかけとして数人と仲良くなっていきますよね。

 

でもギフテッドは

同じギフテッドと何十人も出会うことはほぼありません。

能力の高い人が集まる場所でなければ難しいですよね。

 

 

偏差値が高い大学

音楽大学、美術大学

医師や弁護士、研究者、芸能界などでしょうか。

 

そこにたどり着けた人は沢山のギフテッドに会えるでしょうね。

 

 

先ほど言ったような理由で

共通点を見出すのは簡単ではないと思いますが

多くのギフテッドと出会えるだけで少しは楽になりますね。

 

 

 

ところが

能力の高い人が集まる場所にいるギフテッドの中にも孤独を感じる人がいます。

 

愛着障害や発達障害をもちながら

何とかその場所にたどり着いたギフテッドの人です。

 

 

 

彼らもまた、能力をすべて発揮出来ていません。

 

その場所に比較的楽にたどり着いたギフテッドと出会うと

それを肌で感じることになるんですね。

 

 

同じく高い能力を持つギフテッドと出会っても

 

余裕を持ってそこにいるギフテッドと

必死に困難を抱えながらやっとそこにたどり着いた自分の違いを感じ

孤独を感じることになります。

 

 

 

 

ほとんど能力を活かすことのできなかったギフテッドは

もっともっと孤独を感じることになります。

 

 

ギフテッドと出会える場所に行けません。

 

 

偏差値の低い大学や

誰でも働けるアルバイト先

能力が高くない人が集まる職場…

 

 

芸術に興味の無い人が集まるコミュニティ

論理が通じない人が集まるコミュニティ

志が低い人が集まるコミュニティ

道徳心が低い人が集まるコミュニティ…

 

 

全く共通点を見出せない

全く好感を持てない

全くコミュニケーションがスムーズにいかない…

 

ひどい孤独を感じ続けることになります。

 

 

こうして孤独を感じ続けたギフテッドは

人間全体に次第に心を閉ざしていきます。

 

 

そして

人が好きでユーモアが好きで

感性が鋭く感情豊かで

頭の回転が早く柔軟で

エネルギッシュで人を導く…そんなギフテッドらしい特徴は無くなっていきます。

 

 

人間不信になったギフテッドはギフテッドらしくなくなり

もし偶然に同じギフテッドと出会ってもコミュニケーションが難しくなります。

 

 

 

普通の人ともコミュニケーションが難しい

ギフテッドの人ともコミュニケーションが難しい

 

 

ほとんど能力を活かせずに

ギフテッドらしさも無くしてしまったギフテッドは 本当に孤独になるんです。

 

 

 

こんな形で強い孤独を感じているギフテッドの場合

 

まずは心を回復させて

ギフテッドらしさを取り戻さなければいけません。

 

 

ギフテッドと出会っても

自分がギフテッドらしくなければ、コミュニケーションが出来なければ

孤独は埋まりません。

 

 

そして

ギフテッドらしさを取り戻して

能力を高めて、ギフテッドと出会える場所を目指していかなければ

孤独は埋まりません。

 

 

 


でも

最終的にギフテッドが本当に孤独でなくなる方法は

 

似たような人を追い求めるのではなく

違うものを受け入れる力を手に入れること

 

孤独を楽しみながら

人と長く一緒に過ごすことより深くつながれること

 

これが大事なのかもしれないと私は思っています。

 

 

 

私は一時

沢山のギフテッドの人と出会って、なぜか孤独が強まりました。

 

 

それは自分と近い性格であること

自分と同じ世界が見えていることを期待していたからだと思います。

 

 

自分と同じ性質を持っている人と出会えた 

似たような経験をした人と出会えた

話が通じる人と出会えた

 

 

でも

私とは全然違う能力をみなさんは持っていて

私の見えている世界とみなさんの観ている世界は違いました。

 

 

今は

ギフテッドでもそうじゃない人に対しても

違う部分に面白さや敬意を感じるようになって

ほんの少しの共通点を喜べるようになって

 

孤独の味わいながらも絆を深めていって

 

孤独は薄まってきました。

 

 

 

ギフテッドの孤独を和らげるヒントは

 

よりギフテッドらしく生きること

能力を活かして同じく能力の高い人と出会うこと

違う人を面白がって敬意を持って受け入れること

孤独も楽しみながらも人と深い絆を感じられること

 

私はここにあると思っています。

 

 

 

 

 

 

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