逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

視覚優位型はイメージが重要

ADHDの傾向がある人は視覚優位型が多いんです。

 

 

順序立てて処理する継次処理よりも

パッとみていっぺんに処理する同時処理が得意なので

 

沢山の情報が一度に入ってくる視覚に頼るのは当然ですね。

 

 


自分が視覚優位であること

 

 

これは弱点ともなり得ますが、大きな強みでもあります。

しっかり意識して戦略を立てて生かしていきましょう。

 

 


視覚優位の人は

人の話を聞き取るのが苦手ではないですか?

 

 

人の話を聞いて理解することは

継次処理なので視覚優位の人はとても不利なんです。

 

 

 

コミュニケーションのほとんどは
会話だというのになんて悲劇…と思ってしまいますね。

 

 


視覚優位の人に話を聞く時に注意してほしいのは

人の言葉を断片的に切り取ってしまうこと。

 

 

 

人が話をしている時

多くの場合、ストーリーになっています。


最初から最後まで聞いて

全体で意味を成すので継次処理が必要です。

 

 

 

オチを話すために特に重きを置いてない話もする

 

伝えたいことを強調するために伏線をはる

 

感情の大きさを伝えるために状況を説明する

 

葛藤を知ってもらいたいために敢えて絡まった状態の話もする…

 

 

人の話はこんなに複雑です。

 

 

それなのに
聞いた言葉だけを瞬間瞬間で処理しようとすると…

 

 

オチを話す前に自分が気になる途中の話に食いついて話を止めたり

 

伏線の話を深く掘り下げて聞こうとしたり

 

感情を無視してその話の状況について分析したり

 

葛藤を聞かずにアドバイスしたり…

 

 

 

早合点で、話を取り違え、相手が求めていない話をし

相手の話を台無しにしたり、あげ足取りをしたりしてしまうんですね。

 

 

 

私はADHDの症状が強く出ていた時に

いつもこんな失敗をしでかしていました。

 

 

みなさんも心当たりがあるのではないでしょうか。

 

 

 


視覚優位型の人が
人の話を聞いて理解しづらい、会話をして変な空気にしてしまうのも

こんな理由があったんです。

 


頭が悪いわけでも無能なわけでも性格が悪いわけでもありませんよ。

 

 

じゃあどうすれば
人並みのスピードで人の話をちゃんと理解することができるのでしょうか。

 

 


それは
視覚優位型の武器である、イメージを使うんです。

 

 

イメージは

 

上手に使えるようになると
人並みどころかそれを超えたスピードが出てきます。

 

視覚優位型の人は
実はスピードという優れた能力があります。

 

 


では
これを具体的に会話場面で使ってみましょう。

 


「昨日近くのコンビニに行って雑誌を買いに行ってさ。
そしたら美味しそうな新作のスイーツとかお菓子がいっぱいあって
買おうとして持ってた雑誌が邪魔で脇に挟んだの。

それでお菓子を取ったらガムテープとマスクが必要だったと思い出してカゴを持つのが面倒で両手いっぱい持ってお会計に行ったの。

そしたら店員さんがにらんできて、何かと思ったら脇にしっかり挟んでた雑誌を忘れててわざと万引きしようとしたと思われちゃったの」

 

 

長いですね。

ちゃんと聞こうとしても混乱してきますね。

 

 

文字でさえこうですから

 

文字ではなく言葉で、その場で友人にバーッと話されたら
もっとわからなくなりそうです。

 



これをイメージ化しましょう。


まるで自分が体験しているように想像してみてください。

 

 

コンビニに雑誌を買いに行って雑誌を手に取る

 

色とりどりのスイーツやお菓子に目を奪われる

 

一旦手に取った雑誌を脇に挟んで物色する

 

脇に雑誌を挟んだまま両手いっぱいのスイーツと持ちお会計に


雑誌をお会計しないまま出ようとして

うっかりして店員さんに万引きと間違われる

 

 

すると
かなりのスピードで状況が把握できませんか?

 

なるほど、ありそう、あるある。
なんて思えたりするんじゃないでしょうか。

 

 

 

さらにもうひとつ。

 

 

 

友人が
「昨日、彼女にバカって怒鳴ってしまったよ」


と言ってきたとします。

 

 

これを聞いた視覚優位の人は


「女性に怒鳴るなんて絶対にダメ!」

「人に向かってバカというなんて」

 


こんな反応をするかもしれません。

 

 

これは
言葉だけに対して考えれば、普通の反応ですね。

 


でも

あなたと友人は10年来のつき合いだとします。

 

 

そうすると先ほど言ったように
人の話にはストーリーがあるので
ここには10年分のストーリーがありますね。

 

これをどんどんイメージ化していきましょう。

 


友人を長編ドラマの主人公として
物語を作ってください。

 

 

主人公はお人好しです。
いつも自分のことを置いて色んな人に気遣いをしている。
仕事も真面目で責任感がある。

 

この友人は女性に振り回されがちで
いつも痛い目にあってきた。


お金を貢ぎ何でもワガママを聞き
仕事で忙しいのに無理をして時間を作ってヘトヘトになっても

彼女に不平不満を言われて自分が不甲斐ないと落ち込む。


でもいつも最後は良い人すぎると言ってふられてしまう。
そんなことを10年近くも続けている。

 

誰に対しても優しく皆んなに愛される彼が幸せをつかめない。

周囲の人も心配して諭すのですが変わらないまま…


そんな友人もやっと一念発起して
自分も幸せになろう、もっと自分のことも大事にしようと決意する。

心配をきていた周囲の人は大喜び。


そして新しく彼女が出来る。
これまでと同じ振り回すタイプの女性だった。


虫の居所が悪いと彼に当たり散らす。
昨日も「あなたはいつもここが悪い!ひどい!救いようもないバカ!」
と言ってきました。


そこで友人は初めて腹をたて、言い返しました。
「八つ当たりするな!人に馬鹿っていう方が馬鹿なんだ!」

 

 


そんな友人があなたに


「昨日彼女にバカって怒鳴ってしまったよ」
と言ってきました。

 

さて

先ほどと全く気持ちが変わってきませんか?

 

 


おーよく言った!

そんなことを言われたら言いたくもなるよ!

 

そんなふうに思えてきませんか。

 

 

 

その言葉を言う人のこれまでのストーリーも考える

 

その言葉を言う場面のストーリーを聞く

 

 

言葉だけでなくストーリーもちゃんと付け加えることで

視覚優位な人も誤解をすることが減っていくんです。

 

 


上手く伝わったか分かりませんが

 

人が話す言葉を言葉だけ切り取るのでは無く
ドラマの主人公のように背景を知って
積み重ねていって聞いていってみてください。

 

相手と知り合って10分だとしても
10分のストーリーができるはずです。

 


これはなかなか難しいですが
慣れると、とても楽に人の話が聞けるようになるはずです。

 

 

こんなふうに
視覚優位の人は聞いた言葉をそのまま理解しようとしても難しいので
イメージを上手く使ってみましょう。

  

 

 

もうひとつ視覚優位の人の弱点があります。

 

 

自分の悪い癖を変えたい

よりよい自分になりたい

 

自己啓発の情報を得て

これはやめなければならない、こうすればいいとやってみるのに

全然うまくできない。何度も何度も失敗する。

 

 

こんなことよくありますよね。

 

これは視覚優位の人ほどよくあることなんです。

 

 

自己啓発は


このような原因があってこうなる

このような努力があって実る


というように継次的な処理と言えます。

 

 

同時処理したい
視覚優位型はちょっと難しいところがありますよね。

 

じゃあ
視覚優位型は自己啓発を諦めなければならないのでしょうか?

 

 


いいえ。

これもまた視覚優位の武器のイメージを上手に使っていきましょう。

 



「モデリング」という学習方法を使いましょう。

 

自己啓発は
このモデリングはかなり使えますよ。

 

 

親の背中を見せるいうのも、モデリングです。

 

 

勉強をしてない親が「勉強しろ」

しっかりしてない親が「しっかりしろ」

嘘をつく親が「嘘をつくな」と言っても

 

なるほど、そうした方がいいんだなと頭でわかっても

目に見えている教える人が出来ていないと学べませんよね。

 

 

自己啓発も同じです。

 

 

頭で理解してやろうとしてもなかなか難しい。

見て、真似をしてみたらいいんです。

 


この人のようになりたいと思える人(映画の主人公など架空の人物でもOK)を
イメージしてみてください。

 

この人はこの場面でこんなふうに話す
こんな振る舞いをする
こんな考え方をする…


頭に思い浮かべてものまねのようにやってみましょう。

 

 

そうすることを繰り返して
身につけたいことを
自然に身につけることができたりします。

 

 


モデリングは自然に起きてしまうこともあります。


嫌いな親と同じ行動をとってしまったり
あまり良くない振る舞いの友人と似てしまうことがそれですね。

 

 

だから
寂しいからといってあまり好ましくない人と過ごすことは

避けたいことですね。

 

 

いくら寂しくても

自己啓発のためには、一人で素晴らしい人間をお手本にして

モデリングする方がいいですね。

 

 

 

こんなふうに
視覚優位者は上手じゃない事は

努力不足、能力不足、頭が悪い、性格が悪い…

なんて理由じゃなかったことをわかってもらえたでしょうか。

 

継時処理が苦手なのだから

理屈よりイメージを上手に使えば色んなことが上手くできるんです。

 

 

 

関連記事