逆境から立ち上がった臨床心理士

―ADHD・ASD・ギフテッド・養護施設出身の被虐待児―

ギフテッド④-過去の記憶を鮮明に覚えている-

ギフテッドは 


関係性について著しい記憶力をもっており
人、場所、物事への強い感情的な記憶を保持すると言われています。

 


私もそうでした。

 

暗記が必要な勉強は全くダメで
規則やルール、数字など


あまり個性がないものは覚えられませんでした。

 

 

じゃあ何を覚えているのかというと


人との会話場面や
自分が感動した場所の情景やにおいや体の感覚などです。

 

 

会話でも
私にとって意味がないと思うこと


例えば

噂話やお愛想や場あたり的に話していることはすぐに忘れてしまいます。

 

 


本気で話してくれたこと

本気で語り合ったことほどよく覚えています。

 

 


あなたがこの発言をした時
私はこう返して次にこう言ったじゃない?なんて

 

数年前のことでも再現できることがあります。

 


その時の服や相手の表情まで浮かぶこともあります。

 

私が話を覚えているので

長い付き合いの友人はその場しのぎの話をしなくなります。

 

 

 

私はこの特徴のせいですごく苦労がありました。

 


いつも自分の言ったことを忘れるタイプの人に

「私はこう言ったよね。覚えてないの?」と詰め寄られた時

 

「こういう流れでこう言ったけど・・・」

とリアルに再現して冷静に返してしまいます。

 

 

そうすると最初の話はどこかにいってしまって

 

「嫌な人間だ」
「執念深い」
「そんなふうにいつも根に持ってるの」

 

いつも人間性を否定されることになりました。

 

 

私は同じような場面で同じように言われてきたので
自分はそんな嫌な人間なんだな…とずっと思ってきました。

 

 

 

でも親しい人が


「あなたはすぐ水に流してくれる」
「あなたは小さなことをいつまでも感謝してくれる」

と言ってくれて、やっと分かったんです。

 

 

私は全部覚えていただけで

人より根に持たない人間でした。


自分で自分に腹が立つぐらい
ひどいことをされてもすぐに忘れてしまうんです。

 

 

人が自分にしてくれたことは
全部はっきりと覚えていて
何年経っても感謝は消えないんです。

 

 

ただ自分が言ったことを忘れて

私に詰め寄ってくる人に対してだけ反論をしただけでした。

 

 
そういう人達は
私と同じぐらいハッキリと記憶している事柄は
人の過ちや人への恨みだけなんですね。

 

だから私のこともそうだと決めつけたんだと思います。

 

 

ひどい言いがかりでした。


私が執念深いとずっと自分を責めてきた部分は

ギフテッドの記憶力の良さのせいだったんです。

 

 

 

 

この記憶力の良さは対人関係を難しくしました。

 

さっきの話のように

 

覚えようとしなくても人が言ったことを覚えてしまいます。

 

多くの人は
嘘をついているつもりはないまま
その場しのぎの言い逃れや社交辞令などを頻繁に使っています。 


言動が一貫しないことは普通の事なのかもしれません。

 

 

でもギフテッドは


自分が言動を一致させようと日々努力しています。

 


そのため

言動が一貫しない人が
すごく不誠実で嘘つきに見えてしまうんですね。

 

 

そしてギフテッドは


自身が道徳観念を強く持とう、誠実であろうとしているので


人も皆同じと思い込んでいるので
不誠実や嘘を知ったときのショックはとても大きいんです。

 

 


そのショックの大きさを例えると

 

自分の親友で
とても誠実で頼りになって全てを信用して任せてきた人


そんな人が嘘だらけだった

 

 

自分の恋人が
いつも自分を気にかけてくれて遊びよりも仕事というお堅い人で
真面目すぎるぐらい真面目な人


そんな人が浮気をしていた

 

 

誰に対してもこれくらいの衝撃を受けてしまうんですね。

 

 

こんなことが起きたら

とてつもないショックで怒りが湧き
とても立ちなおれない思いで人間不信にもなってしまうのではないでしょうか。

 

その先の人生にも
陰を落とすぐらい大きな影響があるのではないでしょうか。

 

 

ギフテッドは
こんな大きなショックを対人場面でよく味わっているんだと思います。

 

 

私もいつも人に対して絶望を味わっては

情緒不安定になっていたことを思い出します。

 

 

 

記憶力が良いせいで

嘘を言われた場面だけでなくそれに関連する場面も覚えています。

 


嘘をつかれた時にその嘘だけのショックで終わりません。

 

これが嘘ということは、あの場面もあの場面も嘘になる!

こうして人に対するショックがまた大きくなります。

 

 

これが本当に苦しいんです。

 

こういう話をすると必ず
人に期待しすぎるからいけないと言われます。

 

確かに普通の考え方だと期待になるんですよね。

 

 

でもギフテッドは期待をしているんじゃなくて

 

相手が自分は誠実だ!と表現するのを
そのまま受け取っているだけなんですよね。

 

 

ギフテッドが人に期待しているんじゃなく
皆さんが人に不誠実で、人を常に疑ってかかっているんだと思うんです。

 

 


話がだいぶずれてしまいました。


記憶力がいいとこんな思いをせざるをえない。

 

 

みんなが色んなことを流せるのは
穏和だとか器が大きいだとかいうけれど


そんなに人の言動を覚えていないからこそ

出来ているだけなんだと思います。

 

 


全部を覚えていて
言動不一致を明らかに把握しても


対人関係を穏便にするために

見て見ぬ振りをして流さなければならない


私はこれに本当に苦労しました。

 

 

今は流すというより
言動が不一致になってしまう人の理解に努めるという形で頑張っています。

 

 


これまでこんな言いがかりと言えるようなことも
全部受け止めて反省してきました。

 

 

ギフテッドは自分を批判しやすく
相手が10割悪いと言われる状況でも自分の悪い点を探します。

 

批判されれば
一つの真実だと真剣に受け止めます。

 

だからギフテッドには安息がありません。
いつも苦しいですね。

 

でも
だからずっと向上できるということですよね。